2019年5月12日日曜日

『魂の暦』第34週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第34週、朗読に不向きな翻訳

1912年11月24日~11月30日

Geheimnisvoll das Alt-Bewahrte
  古く守り置かれたものを神秘な仕方で
Mit neu erstandnem Eigensein
  新たに復活した個的存在とともに
Im Innern sich belebend fühlen:
  内において活性化するのを感じろ:
Es soll erweckend Weltenkräfte
  それは目覚めさる作用をしつつ世界諸力を
In meines Lebens Außenwerk ergießen
  私の生活という外的作品の中に注ぎ込むはずであり
Und werdend mich ins Dasein prägen.
  なりつつ私を存在へと刻み込むはずである

前半3行の骨組みは、主語のない命令形の文で
 「古く守り置かれたものを感じろ」
です。
さらにそこに、「神秘な仕方で」、「新たに復活した個的存在とともに」、「守り置かれたものが活性化するのを」が感じろに加わります。
後半3行は、
 「世界諸力を注ぎ込む」と「世界諸力を刻み込む」の2つが骨組みです。
注ぎ込む方は「私の生活という外的作品に」注ぎ込み、刻み込む方は「存在へと」刻み込みます。

この詩の前半は「内」、後半は「内から外」が舞台です。第32週は「内」の内容で、第33週が「外」の内容でした。ですから、この復活という語が現れる第34週(今週)は、それらが総合された内容です。
そこでまず、「内」の内容を見ると、春から夏にかけて外界から受け取ったものを指すと思われる「古く守り置かれたもの」を「復活した個的存在」と共に活性化されます。
毎回のことですけれど、ルドルフ・シュタイナーの詩ではすべてが理念的表現で、具体的な内容は登場しません。「古く守り置かれたもの」と言われても、具体的な内容は各自が、毎年違ったかたちで創造的に想像しなくてはなりません。この「理念的なものから個別的、具体的なものを創造的に想像する能力」が人類には不可欠ですし、これが萎えていることが物質主義全盛の原因とも言えます。その意味で、この『魂のこよみ』もルドルフ・シュタイナーによる人類救済のツールと言えます。
こうして内面が活性化されますと、今度は「外」の世界諸力が「私の生活という外的作品」に刻み込まれます。ここで「生活」と訳したLebenは、人生、生命、営み、生活といった意味があります。ここでは「外」が意識されるので「生活」という訳語を選択しました。また、「作品」はWerkの訳語ですが、第31週には「人間の業績」と訳したMenschenwerkという単語が登場していて、Werkが人間から外界へと、つまりより外向きに移り変わっていることがわかります。

前の第33週で世界の虚無性を見てとった後、この週では「復活」が語られます。33とは、イエスがゴルゴタに掲げられたときの年齢です。その最後の3年間は、そこにキリストが受肉していました。とりあえず私が気づいたのはそうした「33」という数字との関連で、その先までは見えていません。

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