2019年5月12日日曜日

『魂の暦』第04週、朗読に不向きな翻訳

復活祭後;第04週

1912年4月28日~5月4日
Ich fühle Wesen meines Wesens:
     「私は私の本質の本質を感じる」
So spricht Empfindung,
     そう感受が語る、
Die in der sonnerhellten Welt
     その感受は太陽で明るくされた世界の中で
Mit Lichtesfluten sich vereint;
     光の洪水と一体になる;
Sie will dem Denken
     感受は思考に
Zur Klarheit Wärme schenken
     明晰さへと向けた温かさを贈ろうとし、
Und Mensch und Welt
     そして人間と世界を
In Einheit fest verbinden.
     ひとつにしっかりと結びつけようとする


ここでの主役は「感受」です。馴染みのない訳語ですいません。シュタイナーによるこの語の用法は広い意味と狭い意味の2つがあります。
  1. 『神智学』中の「感受魂」:外からの印象を受け止め、さらには感情などの魂的な活動も含める。ただし、「感受魂という名称を用いているものの、その働きは感受にとどまらず、感情までをも含む」という記述もある点には注意したい。この一文から考えて、シュタイナーが「感受魂」ではなく「感受」と言う場合に「感情」が含まれることはないとわかる。
  2. 『一般人間学』での「感受」:認識的ではなく、意志的(無意識的)活動で、「外からの印象」→「感受」→「知覚として意識」というつながりの中での「感受」。
高橋巖氏は「感情」、はたりえこ氏、鳥山雅代氏は「感性」という訳語を採用しています。これらは「知覚」が成り立った後の状況ですので、1.の解釈になります。しかし私は、印象を受け取るところまでと考え、2.と解釈しています。
『魂の暦』第4週では、そうした「感受」について、以下の3つが取り上げられます。
  1. 語る言葉
  2. 状態
  3. 望むこと
まず「感受」が語る言葉は、「私は私の本質の本質を感じる」です。「Wesen=本質、存在」という語を2回繰り返します。「核の本質」とか「存在の本質」ではなく、「本質の本質」というわかったようでいて、実は何も説明していない表現です。「感受」にしてみれば、まさに自分自身が最高に活躍していることを感じつつも、それを説明する言葉は持たないのです。

次に「感受」の状態を見ましょう。4月から5月にかけての季節には、日差しは明るく、咲く花が日々入れ替わり、人間も印象を受け取ること自体に没頭しています。それが、

     その感受は太陽で明るくされた世界の中で
     光の洪水と一体になる;

と表現されます。

そして「感受」が望むことは2つです。
まず思考に対しては、「感受」が持ちえない「明晰さ」に対する敬意を含め、「明晰さへと向けた温かさを贈ろう」とします。
また、自らが光の洪水と一体になっていることをさらに広げて、「人間と世界をひとつにしっかりと結びつけようとする」のです。

1 件のコメント:

  1. このdem Denken zur Klarheit Wärme schenken ですが、思考の明晰さに熱を贈与するということではないかと思います。つまり、Wärme für das Denken zu dessen Klarheit schenken ではないかと。

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