2020年3月29日日曜日

『魂の暦』第52週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第52週、朗読に不向きな翻訳

1913年3月30日~

Wenn aus den Seelentiefen
  魂深から
Der Geist sich wendet zu dem Weltensein
  霊が世界存在へと自らを向けるとき
Und Schönheit quillt aus Raumesweiten,
  そして美自体が空間的広がりから溢れ出るとき、
Dann zieht aus Himmelsfernen
  そのとき天遠方から入り込む
Des Lebens Kraft in Menschenleiber
  命の力が人間身体の中に
Und einet, machtvoll wirkend,
  そして一体にする、 威力豊に作用しつつ、
Des Geistes Wesen mit dem Menschensein.
  霊の本質を人間存在と。

2つの条件が満たされたときと、2つの事柄が「命の力」によって成就するという構造になっています。
その条件とは、「魂の深みから霊(あるいは、霊そのもの)が世界存在へと自らを向ける」と「美自体が空間的広がりから溢れ出るとき」です。
そこで成就されることは「人間身体に命の力が天遠方から引き込んでくること」であり、もう一つは「命の力が威力豊かに作用しつつ、霊の本質と人間存在とを一体にする」のです。

語順を変えて意味をより明確にしておきます。

魂深から、霊が世界存在へと自らを向けるとき
そして美自体が空間的広がりから溢れ出るとき、
そのとき命の力が、天遠方から人間身体の中に入り込み
そして 威力豊に作用しつつ、霊の本質を人間存在とを一体にする。

2020年3月22日日曜日

『魂の暦』第51週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第51週、朗読に不向きな翻訳
1913年3月23日~3月29日

Ins Innere des Menschenwesens
  人間存在の内側へと
Ergießt der Sinne Reichtum sich,
  感覚知覚の豊かさが注ぎ込まれる、
Es findet sich der Weltengeist
  世界霊は自らを見出す
Im Spiegelbild des Menschenauges,
  人間眼という鏡像の中に、
Das seine Kraft aus ihm
  その人間眼は自分の力を世界霊から
Sich neu erschaffen muß.
  新しく創造する必要がある。


1,2行目では、感覚界の事柄が人間の本質に流れ込みます。つまり、春になりさまざまな自然現象が人間の眼前に展開していきます。
ところが3、4行目では世界霊の側からの事柄が述べられます。人間の眼に世界霊が自らの鏡像を見出すというのです。そして、5、6行目はその人間の眼を説明します。眼は世界霊からその力を新たに創造する必要があると。つまり、感覚知覚の側から受け取るだけでなく、力を新たに創造する必要がありますし、そのためには世界霊とつながらなくてはなりません。その力は世界霊が与えてくれるものではないのです。

2020年3月15日日曜日

『魂の暦』第50週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第50週、朗読に不向きな翻訳
1913年3月16日~3月22日

Es spricht zum Menschen-Ich,
  それが人間-自我に語りかける、
Sich machtvoll offenbarend
  自らを威力豊かに開示しつつ
Und seines Wesens Kräfte lösend,
  その(自我の)本質の諸力を解放しつつ、
Des Weltendaseins Werdelust:
  世界存在の生成快が:
In dich mein Leben tragend
  お前(自我)の中に私の命を受け担うことで
Aus seinem Zauberbanne,
  その(自我の)魔法的呪縛から(離れ)、
Erreiche ich mein wahres Ziel.
  私は私の真の目標に到達する。

全体の主語は4行目の生成快(Werdelust、生成することの喜び)です。それが人間自我に語りかけますが、その状況を「自らを威力豊かに開示しつつ」と「その本質の諸力を開放しつつ」の二通りで修飾します。
そして5から7行目は「生成快」が語る内容で、その中心は「私は私の真の目標に到達する」で、そこに付帯的に「自我の魔法的呪縛から離れ、自我の中に生成快の命を担いつつ」がそれを修飾します。
語順を変えて整理するとおよそ次のようになります。

世界存在の生成快が、
自我の本質の諸力を解放しつつ、
自らを威力豊かに開示しつつ、
人間-自我に語りかける:
「自我の魔法的呪縛から離れ、
 お前(自我)の中に私の命を受け担うことで
 私は私の真の目標に到達する」と。


2020年3月8日日曜日

『魂の暦』第49週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第49週、朗読に不向きな翻訳
復活祭後;第49週
1913年3月9日~3月15日

Ich fühle Kraft des Weltenseins:
  私は世界存在の力を感じる:
So spricht Gedankenklarheit,
  思想明晰性がそう語る、
Gedekend eignen Geistes Wachsen
  自らの霊の成長を(下行で)思いつつ
In finstern Weltennächten
  暗闇の世界夜の中で
Und neigt dem nahen Weltentage
  そして近づいた世界昼に傾ける
Des Innern Hoffungsstrahlen.
  内なる希望放射を。

1行目は思想明晰性によって語られる内容で「私は世界存在の力を感じる」とあります。ここでの「力」は行使される力(Kraft)であり、存在としての力(Macht)ではありません。春になって世界存在が種々の存在物を生成していく力そのものを感じとります。
訳者はGedankenを一貫して、世界生成の設計図であると共に世界生成の原動力と考え、そのように訳してきました。そしてここでは、Gedankenklarheit と Klarheit(明晰さ)という語と熟語にされています。ですので、世界生成の設計図と原動力という中でも、設計図に重点が置かれた表現だと考えます。そうした設計図が「世界存在の力」を感じ取るというのですから、存在への原動力が高まっていることがわかります。しかも過ぎゆく「世界夜の中での自らの霊の成長をいわば振り返っています。そして近い未来、つまり世界昼に向けては、内なる希望放射を向けていきます。

「私は世界存在の力を感じる」と、
思想明晰性が、
暗闇の世界夜の中での自らの霊の成長を思いつつ
語る、
そして近づいた世界昼に、内なる希望放射を傾ける。