2019年5月12日日曜日

『魂の暦』第14週、朗読に不向きな翻訳

『魂の暦』第14週、朗読に不向きな翻訳
1912年7月7日~7月13日

An Sinnesoffenbarung hingegeben
  感覚の開示に没入しつつ
Verlor ich Eigenwesens Trieb,
  私は固有の本質の伸びる力を失った
Gedankentraum, er schien
  考えの夢(も失った)、それは
Betäubend mir das Selbst zu rauben,
  鈍らせつつ、私から自分を奪うかのように見えた
Doch weckend nahet schon
  それでも目覚めさつつすでに近づいている
Im Sinnenschein mir Weltendenken.
  感覚の仮象の中で私に世界思考が。

「感覚の開示に没入しつつ」というのは、明るい初夏の様子の体験から理解しやすいと思います。しかし、このころになると草がぐんぐん伸びる感じは失われ、成長がやや鈍ってきます。それと並行するかのように、私の固有の本質も伸びる力(Trieb)を失います。春先の第02週には、「Menschenspross=人間の伸びる芽」という表現がありました。

Es finden Geisteswelten
  霊界にはそれが見出される
Den Menschensprossen wieder,
  人間の伸びる茎が再び、(第02週、3,4行目)

植物において、Spross=ぐんぐん伸びる茎(タケノコ、アスパラガス)とTrieb=伸びる茎(ブドウのツル)では、関連はあるものの、勢いが違います。そうしたニュアンスも含めますと、夏至に向かって人間においても伸びる力が鈍り、やがてなくなっていった様子がイメージできます。

さらにGedankentraum=考えの夢という不思議な概念も失います。これについては、第08週の詩の後半部分に思考と夢状態の関係として表現されています。

Wenn göttlich Wesen
  神的存在が
Sich meiner Seele einen will,
  私の魂と一体とならんとするなら、
Muß menschlich Denken
  人間的思考は
Im Traumessein sich still bescheiden.
  夢的状態の中で自らを静かに慎まなくてはならない。(第08週、5~8行目)

つまり、第08週で始まった「思考の夢状態」がこの週ではすでに終わっています。そしてこの終りに呼応して新たなるものが近づいています。それが「感覚の仮象の中で」の「世界思考」です。この「世界思考」とは感覚界の森羅万象の大本です。活動である「世界思考」によって実体としての「世界の考え」が生まれ、その「世界の考え」には森羅万象の設計図のみならず、それを具現化する力もが含まれています。そうした「世界思考」が私に近づいて来ているのです。

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