■動き
ライオンに限らず、ネコ科の動物の動きは非常にエレガントです。助走もせずに高いところに音もなく飛び乗りますし、待ち伏せた獲物を襲う時などは、静止からの一気の瞬発力を見せます。《動きに適した身体》あるいは《動きに満たされた身体》の様子は、骨があまり目立たず、全体を覆うしなやかな筋肉が目につく外見からもわかります。馬では体重の20%が骨であるのに対し、ライオンでは13%程度です。動くのは本来の運動器官である比較的短い前後の脚ばかりではなく、胴部も非常にしなやかに動きます。脚に到っては先端まで動きに満ちています。つまり、爪を出し入れできるのです。これができる動物は多くはありません。動きという点では、尾も非常にしなやかで、表情豊かです。単に虫を追うために動かしているウシの尾とは好対照です。
Wikipediaより |
そうした中でも、チーターの走る姿は動物の中でも最もエレガントな動きの一つでしょう。
トラの骨格(Starckより) |
■狩り
満腹時のライオンは、まったくの怠け者で非常にだらしなく見えます。ところが狩りが始まると様相が一変し、真剣かつ精悍な様子を見せます。また、ライオンはネコ科の中で、唯一、グループで狩りをします。仲間と連携しつつ慎重に獲物に近づくときなどは、最高度の緊張感がみなぎっています。獲物をしっかりと見据え、気づかれないように細心の注意を払って獲物に近づきます。ライオンは素晴らしい連携を見せ、たとえば待ち伏せをするグループと獲物を仲間の方に追い立てるグループといったように分業が進んでいます。獲物に襲いかかるときには、まず爪で相手を引き倒します。ちなみに、ハイエナやオオカミのようなイヌ科の動物では、最初から噛みつきます。
インパラを狩るライオン(YouTube)
チーターの狩りでは、それほど緊張感はありません。自らの姿を獲物の前に姿をさらし、ゆっくりと周りを走りはじめます。もちろん、獲物は騒然としますが、チーターはそれを意に介さず、ゆっくり走りながら、獲物を見定めます。そして、群れから一匹を選ぶと、一気にトップスピードで追い、十数秒で決着をつけます。
■食事
食べ方はがつがつしていて、エモーションがむき出しです。食事中は仲間に対しても、うなり声をあげ、威嚇し、一切れの肉を奪いあいます。体重が120kgから240kgのライオンで、一回に30kgから45kgの肉を食べることすらあるといいます。体重の1/4のステーキです。そして、満腹すると完全な怠け者モードに入り、そうした状態が3~4日続きます。平均すると、メスで一日5kg、オスで7kgくらいの肉を食べると言います。■エモーション
「猛獣でも、不要な殺生はしない」と言われていますが、嵐のときや満月の時には、ライオンは必要以上に獲物を殺すことがわかっています。外的状況で、エモーションが刺激されてしまうのです。また雄ライオンは、自らの集団(プライドと呼ばれます)を確保するためなど、凄まじい声での吠えます。静かな夜などは、16km遠方まで声が届きます。箱根駅伝の1区で言えば、大手町から川崎くらいの距離です。まあ、この地区が静かになることはありませんが。
ネコ科の動物は基本的に単独行動をとります。実際、エモーションが強いもの同士が集団になるのは難しいでしょう。そのネコ科にあって、唯一の例外がライオンの雌です。これは仮説でしかありませんが、雌ライオンも吠え声をあげ、エモーションを発散することで、集団生活を営んでいるのかもしれません。
■静止と運動、エモーションに関係する臓器
静止と運動を日々繰り返している臓器と言えば、心臓です。「心臓は絶えず動いている」と言うのは、事実ではありません。常に、静止と運動を繰り返しています。たとえば、一番激しく動く右心室の壁の筋肉であっても、基本的には静止していて、必要なときにだけ、一気に動いています。この動き方の特徴は、まさにライオンの行動に現れる特徴と同じです。心臓がエモーションと関係することは、私たちも日常的に体験しています。緊張すると心臓がドキドキするのです。あるいは、怒りから心拍が変化するのを感じ取ることもあります。運動やエモーションに関係するもう一つの臓器が肺です。待ち伏せは「息を潜めて」ですし、攻撃は「一気呵成」といった表現をします。そこには、呼吸に関係する言葉が含まれます。また、肺もリズミカルに運動と静止を繰り返していることは周知でしょう。
全体重に対する肺の比率は、ウマで0.70%、ウシで0.72%、ライオンでは2.12%です。また、心臓の比率は、雌ライオンで0.57%、雄ライオンで0.45%ですが、ウマは0.75%程度、ハイエナでは1%弱にまで達します。
つまり、胸部における呼吸のリズム、脈拍のリズム、そして呼吸と脈拍のバランスがライオンという動物の本性に大きく関係しているのです。
■頭部の特徴
ライオンの頭部の特徴は、鼻筋が非常に高く、幅が広い点である。鼻とは、頭部における呼吸器官で、そこが発達しているというのは、肺が発達していることと完全に相関関係にあります。Wikipediaより |
0 件のコメント:
コメントを投稿