南にはもう一つのメディテーションが描かれています。つまり、自分の身体に秘められた叡智を見るのです。
《メイン》
左下に人間が座っていて、その下には頭蓋骨が描かれています。人間の左上には太陽が半分見えていて、光線を放っています。人間の腹部から足にかけた部分からは、円周の断片のような線が出ていてその先は人間の横顔になっています。その後頭部にあたるところに月が描かれさらにその上には大きめの星が9個描かれています。画面の左上部には、太陽とのつながりを暗示する部分に小さめの星が6つ描かれています。
座った人間は、明らかに瞑想しています。その下に頭蓋骨が描かれているのは、彼が肉体から離れていることを象徴しているのでしょう。
さて、人間が自らの身体に沈潜していくと、どのような体験をするのでしょうか。この事情もシュタイナーは『秘されたる人体生理』の第3講で語っています。通常は意識されない自律神経系の中により深く入り込んでいくことで、体内に光点を感じるようになるといいます。さらにはそれが各臓器であることがわかります。つまり、種々の臓器が星のように感じ取られるのです。叡智に満ちた内的諸天体を体験するのです。そして、それはまさに太陽霊(高次霊)の働きを受けた宇宙の似姿です。「人間(ミクロコスモス)は宇宙(マクロコスモス)に似せて創られている」のですから、その霊視された像は、必然的に人間に似たものになります。
スケッチを見ると、後頭部の月が重要な意味を持つことがわかります。宇宙的叡智を月が受け止め、それが人間に伝わってくることを暗示しているようです。
《事前》
山の岩棚のようなところに人間が横たわっています。彼の下にはさかさまの頭蓋骨が3つ描かれ、それらは下に行くにしたがって大きくなっています。彼の前には第一ゲーテアヌムの入り口があります。入り口の上方には4つの横顔が、人間から離れれば離れるほど大きくなるように描かれています。
彼は物質と重さ(頭蓋骨)に支配され、光よりも物体(崖)がリアルです。そして、霊的な入り口(ゲーテアヌム)も空虚で、その背後の顔も遠ざかっています。
《事後》
《事前》と同じような岩棚がありますが、こちらは明るく表現されています。その岩棚に人間が立ち、高貴で大きな顔と向かい合っています。大きな顔の上方には太陽があり、右下には月が描かれています。そして、月と立った人間の間には三つの横顔が、人間に向かってしだいに大きくなるように描かれています。
崖に立つ人間は、太陽叡智と直接に向かい合い、背後からは月から反射される叡智が近づいてきます。人間身体というミクロコスモスを介して、マクロコスモスの霊的存在と出会うのだと思われます。
添えられたシュタイナーの言葉
《事前》 | 《メイン》 | 《事後》 |
Ich schaue den Bau | Die Welt baut | Und der Bau wird Mensch |
私はその建物を観る | 宇宙は建てる | そしてその建物は人間となる |
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