全体像
緑から一つ舞台に近づきますと、青のステンドグラスです。これには次のような言葉を添えています。
《事前》 | 《メイン》 | 《事後》 |
Und er sieht | Die Welt giebt ihm das Sehen | Und er macht sich sehend |
そして彼は見る | 宇宙は彼に見ることを与える | そして、彼は自らを見えるようにする |
《事前》&《事後》
まず、《事前》の「そして彼は見る」に現われるモチーフを見てみましょう。1. 太陽
2. 目を手に持った天使2人
3. 天使の間に月
4. 坂道を上りながら額を押さえている人間
5. 大地の中に描かれた三角形、五星形、七星形
《事後》「そして、彼は自らを見えるようにする」には次のようなモチーフが現われます。
1. 月
2. 手を持った天使
3. 上りつつある太陽
4. 道から外れ、手で何かをしている人物
5. 地中には円など、曲線的図形
《事前》の絵で、単純に「天使が目を持ってきてくれた」と考えるのは誤りです。なぜなら、人物にはすでに目があり、押さえているのは額だからです。
そして、スケッチの上方には「思考」と書かれています。
さらには、《事前》と《事後》で、天使の翼がどのように違うかにも注目しなくてはなりません。
《事前》と《事後》の天使の翼はまったく違った表現になっています。《事前》の方はすっきりと伸び、力強い表現です。それに対し《事後》では弱々しく描かれています。このことから、《事前》では天使は上昇し、《事後》では下降していると見るべきでしょう。したがって、《事前》では
額から天使が第三の目を奪っている
のです。それによって彼は「地上の存在」、言い換えると物質を物質として見るようになったのです。そのことは、大地に描かれた直線的な図形にも現われています。つまり、そこにある物質的性質だけを見始めるのです。
また、彼は道の上に居ます。すなわち、この霊視能力の喪失は、人間にとっての必然であったのです。
《事後》
さて、《事後》には一つ問題があります。シュタイナーのスケッチでは、天使が持つ手の指が1本であったものが、ステンドグラスでは2本になっているのです。2本の指は、「祝福」を与える手ですが、1本指は「指し示す」指であり、「わかった」という「意味をつける」指です。この指を与えられて、人間は地上界の物質的側面だけを見るのではなくなります。曲線で表現された、動きや形成を見るのです。しかし、そのためには思考を育てなくてはなりません。思考を育て「そして、彼は自らを見えるようにする」のです。
もう一度まとめますと、《事前》で人は、霊視能力を失って、物質界を見るようになります。そして、《事後》では思考を与えられ、それによって世界の意味、世界の霊的側面を見るようになるのです。しかし、この《事後》は必然として万人に生じるのではありません。各自の自由な活動の中で芽生える可能性が与えられるだけです。その意味で、人物は道から外れているのではないでしょうか。
《メイン》
ここに登場するモチーフは非常にたくさんあります。
1. 三つの暗い円とそこからの力(ただし、特定の領域内に留まる)
2. 画面右側に向けてラッパを吹く3人の天使
3. 左側に円と十字が組み合わさったような形
4. 左側に円と三日月のような形
5. 下の円から放射される光の中にいる3人の天使
6. 右側には、ワシ、ライオン、ウシ、額に三角形、五星形、六星形をつけた人間頭部
7. 左の天使から右のワシ、ライオン、ウシ、ヒトに3筋の力、上から波状、星状、月状の力が贈られる
8. さらに下左には、三日月と8つの星、下右には円と7つの星
まず、右側のワシ、ライオン、ウシ、ヒトの4つは、人間の4つの構成要素と考えられます。一番下の人間頭部が肉体、ウシがエーテル体、ライオンがアストラル体、そしてワシが自我です。さらに詳しく見ると、頭部+ウシ、ライオン+ワシの組み合わせになっていて、ウシとライオンの間には少し隙間があります。したがって、アストラル体と自我が肉体&エーテル体から離れる「睡眠時」が表現されていると考えられます。そして、睡眠中の自我&アストラル体は宇宙に上り、宇宙的ハーモニーの中に浸ります。このことがラッパを持つ天使の姿で表現されていると考えられます。
睡眠中の人間が霊的宇宙的世界から、ハーモニーを介して受ける影響については、『神秘学概論』の月紀第13段落に記述があります。月紀の人間と現代人では大きな隔たりがありますが、基本的な働きかけは類似していると考えて差し支えないでしょう。
ハーモニーの領域に入る前は、肉体、エーテル体、アストラル体、自我がそれぞれ天使からの影響を受けますが、その役割分担については、まだ不勉強なためわかりません。いずれにしても、この領域にまで認識を上っていくことができれば、思考の意味合い深まるのだと思われます。
0 件のコメント:
コメントを投稿