■木星の魔方陣
アルプレヒト・デューラー(Albrecht, Dürer 1471.5.21.-1528.4.6.)の『メランコリア・I』という作品です。
その右上には4行4列マスに縦、横、斜め、どれを足しあわせても同じ数になる魔方陣が描かれています。
さらには、この魔法陣の中でデューラーは15と14を並べ合わせ、制作年の1514年を書き込んでいます。
この絵の内容は『メランコリー』で、それには《土星》が関係するそうですが、その力を柔らげるために、この魔方陣の持つ《木星》の力を加えているのだそうです。
■算数によって解明される不思議な性質
4×4のマスを子どもに与えて、この魔方陣の配列を求めさせるのは少し難しすぎると思われます。実際に計算するとしたら、3×3くらいにとどめておいた方が無難です。その後で、この魔方陣を完成形として紹介します。
1から16までを加えますと、136になり、それを4で割ると、一行、あるいは一列の合計数34が出ます。この魔方陣では、当然ながらどの行も列も、さらには対角線も合計は34です。
ここで幾何学的な視点でこの魔方陣を見ます。各マスの点を置くと、図のように、16個の点になります。この中から4つの点を選んで、正方形になるようなものを探します。
残りの3つの正方形でも同様です。
このように、正方形の頂点に当たる数字を加えると34になる場合が12通りあります。
さらには、長方形、菱形、平行四辺形の頂点に当たる数字を足して34になるものもあります。以下に一例を挙げておきます。
このように数えていきますと、行・列・対角線で、和が34になるのは10通りです。さらには四角形の場合は、正方形も含めて、全部で36通りあります。どこまで探せるでしょうか?
これをどこまで探せるか、子どもたちにとってはスリリングな計算です。探求用の用紙のダウンロード(以下の図参照)
(この内容の主要な部分は、Dr. Hermann von Baravalle著『Rechenunterricht und der Waldorfschul-Plan』を参考にしました)。
「木星の魔方陣」といった言い方は、ユダヤのカバラに関係しています。ヘブライ文字では文字の一部を数字としても使うのです。日本語にたとえれば、「い」は1に相当する、という感じです。すると、魔方陣の数字の配列はそのまま文字の配列として読むこともできます。そこに何らかの意味を読み取ることができるのだそうです。
■付録
ハインリッヒ・コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイムの『魔術書集成』から、木星の魔方陣の部分です。
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