2014年5月31日土曜日

魔女の魔方陣 from 『ファウスト』

 
魔女の魔方陣(九九)
ゲーテの『ファウスト』第一部でファウストが若返りのためにメフィストフェレスと共に魔女を訪れるシーンがあります。そこで魔女は以下の不思議な呪文、「魔女の九九」を唱えます。 この魔女の九九の意味をシュツットガルトのシュタイナー学校教師であったエルンスト・ビンデル氏が『Geistige Grundlagen der Zahlen』で興味深く説明しています。
魔女の呪文はこうです
汝、こう心得よ
1は10にし
2は通り過ぎ
3は同じまま
すると汝は金持ちだ
4は失われ
5と6を
と魔女は言う
7と8となせば
これで完成。
9は1にして、
10は存在しない。
これぞまさに魔女の九九
これに沿って、表を変形していきます。
出発点として、1から9までの数字を3×3のマスに入れます。

1 2 3
4 5 6
7 8 9
「1は10にし、2は通り過ぎ、3は同じまま」に従い、数を変えます。

10 2 3
4 5 6
7 8 9
「すると汝は金持ちだ」というのは、10、2、3を加えると解釈すると、合計は15になります。
引き続き、「4は失われ」は4を0とし、「5と6を7と8となせば」を5&6を7&8に置き換えると考えると以下のようになります。

10 2 3
0 7 8
5 6 9
「これで完成」ということなので、つじつまを合わせて9を4に変更し、行や列の和が15になるように調整します。
10 2 3
0 7 8
5 6 4
「9は1にして、10は存在しない」というのは、9マスで一つのまとまりをなし、10マスからなる正方形は存在しない、と解釈できます。
こうして魔女の九九(魔女の魔方陣)が出来上がります。
この魔方陣において縦横を加えて見ますと、きちんと15になります。右上から左下にかけての対角線も15です。
10 2 3
0 7 8
5 6 4
ところが、最後の左上から右下の対角線では10+7+4=21となり、魔方陣の法則が崩れています。
魔女というのは、すべて嘘をつくわけではなさそうです。
正しいことの中に、少しウソを混ぜるのかもしれません。

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