大ホール内
大ホールの中はおよそ次のような様子です(Wikipediaより舞台下手から南西を見る)。奥(西入り口側)から緑、青、紫、ローザ(オレンジっぽいが)の順に、南北両側にステンドグラスが並んでいます。北側の緑のステンドグラスはこれです。
これも3枚組ですが、《事前》と《事後》は下の左右に配され、メインが上に置かれています。
北緑メイン
これはメインの図から見てみましょう。重さを克服して霊視する者が重さの霊を認識する
まず中心になるのは、高みに上った人間と、四つの房をつけ、竜のような胴体を持った存在との出会いです。この存在には、長い角が2本あり、大きな耳、大きな目、そして大きな鼻と口をしています。蛇のような胴体は6、7回折れ曲がって(ひょっとしたららせん状かもしれませんが)、その尻尾は地上にまで達しています。胴の節目には黒い丸が描かれていますが、よくみると一番上の丸にはリングが描かれています。土星です。実際、スケッチには「土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月、地球」という文字が記されています。ただ、これらの星は輝いてはおらず、暗い円で表現されています。つまり、星の光としての側面ではなく、重さや物質としての側面がこの怪物の本質なのです。スケッチには次のように記されています。そして重さの霊は四つの房は緩やかに下になびいていて、この存在が重さと関係することが暗示されています。また、この存在は闇に囲まれ、闇に浮かび上がっています。
矛盾を集め
そしてそれは、
人間の意志の中で
抵抗力となる
一方、人間は、尖った山の頂に座り、雷鳴の中にいるかのように光に包まれ、臆することなく怪物の方にゆるやかに手を伸ばしています。この人物をさらによく見ていきますと、額の部分に特徴があります。通常ではありえないほどに大きく張り出し、しかもそれが大きな力を持つことを暗示するように光の領域も大きく膨らんでいます。スケッチを見ると、そこに第3の眼が暗示されています。人間はいわば、この怪物を肉眼で見るのではなく、霊的な眼で見るのです。
さて、人間が座っている岩山は非常に切り立っています。そして何箇所かに植物の葉のモチーフが描かれていますが、さらに詳しく見ると、下の方の葉は不明瞭で上に行くにしたがって完成されたものになっています。つまり、成長力が暗示されています。下の大地に見られる植物と違って、人間の直下に描かれた植物の軸はまっすぐに上を向いています。言い換えると、エーテル的力によって重さを克服し、高見に上った人間が、この怪物の正体を見るのです。
下方の大地には山が3つあり、さらにその右側には植物のようなモチーフが7つあり、そのうちの3つには葉がありませんし、2本には果実のようなモチーフが暗示されています。樹の左側には草のようなものが4本暗示され、さらにその左側には水平線が2本、かなりしっかり引かれています。
枯れ木から実った樹は、ここでも成長力を現わし、山は鉱物的、岩石的世界を現わしているでしょう。そして、下界では線が横に引かれているのに対し、人間の直下では線が縦に引かれています。(このように見ますと、現在のゲーテアヌムのステンドグラスでは、この葉の軸がやや弱々しく表現されていたり、前述の7本の樹が5本になってしまっていたりするのは少し残念です。)
そして、この怪物の顔をよく見ますと、これがプロローグやエピローグの絵で地下にうごめいている存在であることがわかります。
四大(地水風火)とその拡張
重さは四大の中では、《地》とかかわります。そして、四大の上と下に、さらに別なカテゴリーが加わります。四大の上には、熱エーテル、光エーテル、響きエーテル、生命エーテルがあり、下には電気、磁力、放射能があります。四大の下の三つは、「知覚できないが、その作用は受ける」領域です。高見に上った人物は、《重さ》の本質を知るだけでなく、電気、そして磁気、放射能の本質とも出会うのだと思われます。
《事前》と《事後》の比較
事前状態では、地下から重さの霊が人間に直接に作用しています。さらには、太陽、月、5つの星が上下左右から人間を束縛し、人間は自由を失っています。
それに対し《事後》では、重さの霊の働きは人間には及ばず、太陽、月の作用も、人間を束縛することはなく、人間は自由に活動しています。
《事後》の月
さて、《事後》の月の表現に、シュタイナーはずいぶんとこだわっています。スケッチを拡大するとこのようになっています。手帳のスケッチなどにも、次のようなものがあります。
どちらも、太陽からの流れが月で反射されています。
これに関連しては、『神秘学概論』の宇宙進化の章、地球期第33段落に、アトランティス期の秘技参入の特徴として、次のように述べられています。
こうした秘儀参入者ですら普通は太陽存在と直接に触れ合うことはできず、月諸存在を介した鏡像としてのみそれに触れることができた。つまり、導きの主体は太陽存在であっても、それが月に反射されるかたちで、人間に伝わるのです。これによって、人間は「自由」を失わないですむと考えられます。
最後になりますが、この重さの霊は「アーリマン」と呼ばれます。
添えられたシュタイナーの言葉
《事前》 | 《メイン》 | 《事後》 |
Es gebiert sich der Wille | Die Welt erwirkt den Wille | Es ist der Wille geboren |
それは自ら意志を生み出す | 宇宙は意志に働きかける | 意志が生まれた |
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