■エーテル力を性格付けると
シュタイナー教育では、7歳くらいで歯が生え替わる(交歯)と共に《エーテル体が誕生する》、と言います。そして、それと並行して、エーテル体に働きかける教育が必要になって来ると考えます。物質主義的自然科学が趨勢を誇る現代にあっては、《エーテル体》という言葉自体が非科学的に捉えられるかと思いますが、現象に忠実に、しかも囚われなく考えれば、「エーテル体が存在しないわけはない」という結論を出す人もいると思います。
さて、このエーテル体の一つの側面を、
特定の秩序にしたがって、事柄を関連づけていく力と性格付けることができます。ただし、《秩序》は一通りではなく、状況に応じて適切なものが、より高次な力によって選ばれます。
■肉体はエーテル体の働きかけで健全でありうる
生後数年間の子どもでは、こうしたエーテル的な力が主に肉体に働きかけますし、また、健全な肉体を形成するために、きちんと働きかけなくてはなりません。
赤ちゃんの体型や顔立ちが変っていく様子にも、そこに働くエーテル的な力を見て取ることができます。しかし、そうした肉体的な変化は、内蔵でも生じています。たとえば、肺などもフォルムが非常に変化します。(上:誕生時の肺と下:2歳児の肺)
このように、フォルムが変化しながら成長していく際には、そのフォルム変化を秩序付ける力、つまりエーテル力が必要になります。
このことは、歯でも生じます。幼児では、乳歯の背後で永久歯が形成されていますし、その形成の秩序付けに当たってはエーテル体が作用しています。エナメル質は、完全に完成してから体表に出現するので、現れたときにはすでにエーテル力の作用は終わっています。
■歯は再生しない
骨と歯をくらべると、骨は再生するのに対し、歯は再生しないのが大きな特徴です。これをエーテルレベルで考えますと、骨の形成に当たっては、その形成秩序を司るエーテル力が働いていたわけですが、骨が完成しても、そのエーテル力はある程度は骨に残っています。そして、骨折などの緊急時には、骨を秩序の元で修復する働きをするのです。
それに対し、永久歯形成に関与していたエーテル体は、歯から完全に離れてしまい、それゆえ歯は、再生能力を初めから持ちません。ここに《肉体から離れたエーテル力》が生じます。
■《肉体から離れたエーテル力》の行き先
《肉体から離れたエーテル力》は失われたりはしません。働く場を変えるのです。つまり、魂的領域(心の領域)で、相変わらず《特定の秩序にしたがって、事柄を関連づけていく力》として作用するのです。それゆえシュタイナーは、『霊学の観点からの子どもの教育』でエーテル体によって次のような性質が子どもに表れてくる、と述べています。
- 心的傾向(Neigungen)
- 習慣(Gewohnheiten)
- 良心(Gewissen)
- 特性(Charakter)
- 記憶(Gedächtnis)
- 気質(Temperamente)
■トランプゲームの「神経衰弱」(記憶)
トランプゲームの「神経衰弱」は、本気で戦っても大人は小学生にかないません。小学生が遊んでいると、幼稚園児もやりたがって、それに参加させてもらいます。ただし、幼稚園児はカードをめくることに喜びを感じる程度なので、隣り合ったカードをめくるだけであったりします。しかし、小学生たちはカードの位置を記憶し、自分の番が回ってくるのを待ちながら、虎視眈々と狙っています。
エーテル体の誕生と共に、子どもの中に記憶力が育ってきたことの証です。シュタイナーは「子どもが言葉を逆向きに言い始めたら、記憶力を使う教材を与えなさい」と言っています。なぜ逆向き言葉なのかは、ご自身でお確かめください。
■丸暗記教材
丸暗記は詰め込み教育の元凶のように言われ、敵視されたこともあります。しかし、意味を理解するのではなく、単に暗記することも教育上重要な時期もあるのです。およその手順は、以下の通りです。- 暗記する事柄に深いつながりがあることを予感させる(たとえば、九九の暗記の前に、簡単に原理を示す。子どもがそれを完全に理解しなくても、「これには意味があるんだ」という感情が芽生えれば十分である。)
- 叡智に満ちた事柄、意味のある事柄を覚えさせる(モンスターの名前などではなく)
- 将来、その覚えたことの意味がつながるようになる
■幼児期の注意
「小学生から記憶力に働きかける教育を行なう」というやり方は、このように人間洞察から生じています。したがって、エーテル体が身体形成の秩序を司りつつ働いている幼児期に、記憶に働きかける教育が好ましいか、好ましくないかも、必然的に答えが出ます。
0 件のコメント:
コメントを投稿