数の美しさ
■足し算を分割で学ぶ
シュタイナー学校では、シュタイナー自身の助言に従い、足し算を「分割」という方法で教えます。 つまり
5+7=12
ではなく、
12=5+7
という方向です。 このようにしますと、次のような利点があります。
- 生きているものは、基本的に「全体から部分へ」である。
- 認識論的にこちらの方が正しい。ちなみに、カント哲学では5+7の方向で考える。
- 実際にやってみると、教室に生き生きした雰囲気が生まれる。
- 一つの答に満足せず、多くの可能な答を求める姿勢が培われる。
■数の美しい《分割》
さて、数の分割というテーマでも「目に見えない美しさ」に対する姿勢を培うことができます。マンハイム、シュタイナー教育教員養成ゼミナール元代表のエルンスト・シューベルト先生が紹介してれた方法です。
「10を美しく分けてみよう」と問うのです。
5+5、3+4+3、などの可能性があるでしょう。 その中でも
10=1+2+3+4
は美しいものの一つでしょう。 ■9の分割
9も美しく分けることができます。
9=3+3+3
も美しいでしょう。さらには、
9=1+2+3+2+1
これも美しい分割です。 一つの視点として、分割に秩序があると人間は美しさを感じるようです。 この分割は、階段状に上って、降りる形です。
1+2+3+2+1
この階段を一つ増やし、4までにしたら、下のようになります。
1+2+3+4+3+2+1=16
さらに階段を高くし 5 までの増減にしますと、
1+2+3+4+5+4+3+2+1=25
これはすぐにわかるように、9=3×3とか16=4×4、25=5×5とも表現できますので、2乗数と呼びます。 2乗数の世界
この2乗数は振る舞いがエレガントで、貴族の数と呼び人もいます。9=3×3といった2乗数を点で表しますと、正方形に並べることができます。
さて、9は下のようにも表現できますし、さらには16も同様です。
9 = 1+2+3+2+1
16=1+2+3+4+3+2+1
(空行を入れておきます)
答えを知ればその理解は簡単
答えは簡単で、正方形を45°傾ければよいのです。こうしますと、正方形としても対角線を軸とした対称性が強調されます。それが、数の分割による対称性ともつながります。
この関係は、私が1993~4年ごろ、ウリーン著『シュタイナー学校の数学読本』を翻訳しているときに発見し、機会ある毎に「数学の美しさ」や「目に見えない美しさ」の例として紹介してきました。それが現在では、いくつかのシュタイナー学校では定番の教材になっているようです。
奇数の和
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19・・・という奇数を次々に足していくとどうなるでしょうか?
1=1
1+3=4
1+3+5=9
1+3+5+7=16
1+3+5+7+9=25
1+3+5+7+9+11=36
1+3+5+7+9+11+13=49
1+3+5+7+9+11+13+15=64
1+3+5+7+9+11+13+15+17=81
1+3=4
1+3+5=9
1+3+5+7=16
1+3+5+7+9=25
1+3+5+7+9+11=36
1+3+5+7+9+11+13=49
1+3+5+7+9+11+13+15=64
1+3+5+7+9+11+13+15+17=81
この和も二乗数になります。このことは図形で次のように表されます。
(前述のウリーン著『シュタイナー学校の数学読本』)
この関係は、高校で学ぶ数列に関係する、「数学的帰納法」の定番問題です。
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