2014年11月24日月曜日

第11講解説(一般人間学)

■頭部、胸部、四肢の覚醒・睡眠状態

頭部や四肢の覚醒・睡眠状態は、およそ次のようにまとめられる。

      乳児   幼児      小学校低学年  中学校
頭部    眠  完成だが眠      夢見      覚め
胸部    眠    夢見        覚醒      覚醒
四肢    眠    覚醒、未完    覚醒      覚醒
作用法   ?    模倣、言語叡智 芸術    知的な作用



■働きかけは目覚めた部分にだけ

子どもへの教育的働きかけは、目覚めた部分以外にはできない。眠った人への講義は無駄なのと同じである。 ただ、《目覚めた部分》に働きかけることで、眠った部分が目覚めていく。幼児では手足が目覚め、小学生では胸部(感情)が目覚める。したがって、小学生では四肢と胸に、芸術的に働きかける。 中学生になると頭部が目覚めるので、その目覚めた思考に働きかけることができる。

■幼児期は模倣を通して手足に働きかけ、さらに言語霊も作用する

幼児の頭部でも少しは目覚めているが、そこへの過度な負担は幼児の本性にそぐわない。したがって、幼児では基本的に手足に働きかける。
頭部の霊性は眠り、外に流れ出しているので、幼児は模倣をする。外界の事物と完全に一体になれる。 また、幼児期から言語霊が人間を育てる。 言語霊の例を挙げよう。子どもが「犬」という言葉を身につけると、そこにはすでに階層的秩序がある。「犬」を個別化し「マルチーズ」、さらに個別化した「ラッキー」、あるいは「犬」より一般的概念である「動物」など、そこには体系的つながりがある。

▲言語霊が人間を育ててくれる例。

  • 一年生は作文で「そして」という接続詞くらいしか使えない。後には「それゆえ」とか「しかし」を使うようになり、その学習過程で事柄のつながりをより的確に捉えられるようになる。
  • 言葉の音(おん)にも言語霊は現れる。幼児が唇を使う子音であるMやPをまず身につける。これは外界に対する共感を現わしているとみることもできる。逆に喉を使うGなどは、自分の内側により深く入り込む体験を促すことになる。

■小学生段階での働きかけ

  • 芸術を通した感情への働きかけ
    小学生では胸部も目覚め、事物と感情に結びつく力が強まる。それを踏まえてシュタイナーは、学ぶ際に芸術的なものを介するように助言している。

■思考が目覚めたら

子どもはいつまでもメルヘンの世界にいるわけではないので、さまざまな形で、子どもの思考に働きかけ始める必要がある。また、シュタイナーが直接言っている訳ではないが、思考は多面的なので、現在の「自然科学的思考」を絶対視するのではなく、種々の科目で学ぶさまざまな思考法の一つと捉えるのが望ましい。

■乳児は手足すら目覚めていない

新生児では手足すら目覚めていないので、それに働きかけて他を目覚めさせるということもできない。その乳児の手足を目覚めさせるのが母乳である。母乳は母親の四肢的要素から作られからである。四肢的要素から作られたものが四肢を目覚めさせるというつながりは、とても自然だろう。
ここで目覚めさせるための手段を順に列挙すると 母乳、 模倣(四肢)、 四肢活動、 言語霊、 芸術的要素、 ということになる。

■子どもの成長と教育法

  • 記憶を促すと子どもは細長くなる。
  • ファンタジーを促すと伸長が止まる
この両方ともが必要であるが、教師はその両者のさじ加減を調節できる必要がある。

■八年担任制

教育は子どもの成長を知って初めて可能であるので、 成長をしっかり把握するには八年担任制が必要である、とシュタイナーは示している。

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