2014年11月24日月曜日

第09講解説(一般人間学)

■序:簡単なまとめ

真の智から教育的本能を育てる必要がある。
▲重要な視点

  • 魂は共感・反感 
  • 霊界は睡眠、夢、覚醒 
  • 体はフォルム。 

▲年齢段階での特徴

  • 0~7歳:模倣 
  • 7~14歳:権威 
  • 14歳~:自分の判断

■論理の三段階

論理の三段階は《結論》(結び付けること)、《判断》、《概念》からなる。

■《結論》(結び付けること)

これは自分と対象が結びつくこと、そこに意識を向けることであり、ここでは人間は目覚めている。 また、授業ではこの部分を活き活きと保つ必要がある。

■《判断》

自分が見たものを、自分の過去の体験や知識と結びつけることを指す。 この部分では人間は完全には目覚めておらず、夢想的状態である。 夢の像は意識されるが、それが生み出された背景は意識できない。それと同様に、判断そのものは当然意識化 されるが、その判断に至った背景には意識が及ばない。 たとえば、茶碗に盛られたご飯に箸が突き立てられて目の前に出されたら、多くの日本人は「これはあり得ない」と憤慨するだろう。 「これはあり得ない」という根拠は、これが死者にご飯を捧げるときの作法であることはすぐにわかるが、頭では分かっても感情的にそれが許せないこともあるだろう。 このように、判断の根拠を掘り下げていくと、それがかなり深いものであることが分かるはずである。

■《概念》

概念形成は眠りの領域、身体の奥深くで行われる、とシュタイナーは述べている。それゆえ、人がどのような概念を培ってきたかがその人間の外見に現れる。工場労働者や社交界の婦人たちが基本的に同じ人相なのは、時代病でもある、と指摘している。それぞれ別であるはずの個が個として成長していないからである。

■生きた概念

《概念》は人間のあり方に深く働きかけるので、教育の中でもその扱いは重要である。 子どもには、生きた人間の中で共に成長しうる《生きた概念》を教えなくてはいけないし、《生きた概念》は大人にとっても重要である。

■変化しない概念

ただし、変化しない概念も少しは必要で、それは子どもの魂に骨格を与える。変化しない概念としては、文法や九九を挙げることができる。

■《生きた概念》は定義付けではなく、特徴付けによって。

定義付け
 ライオンは哺乳綱、食肉目、ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類である。 一頭の雄と複数の雌、ならびにその子どもが集団となって、プライドを形成する。 狩りは通常、雌が集団で行い、獲物はインパラ、ヌー、などである。 
特徴付け(自然科学論でゲーテが展開している論法はすべて特徴付けである。)
トラやヒョウの身体には独特の模様があるが、ライオンは無地だ。けれども、雄には特徴的なたてがみがある。 近所で見かける猫でもそうだけれど、トラやヒョウは子連れの時以外は一人暮らしで、狩りも一頭でする。けれども、ライオンの雌は集団で狩りをするし、集団で連携することもできる。 
余談…30年以上前ですが、『一般人間学』の勉強会で、チューターが「生きた概念が大切なんです」と強調していたのを思い出します。しかし、そのチューターも、生きた概念がどのようなものかまったく説明できず、単に言葉だけが舞っていました。

■すべては《人間》という概念に合流する

すべての概念は、《人間》という概念に合流していくし、その意図を背景に持って、教える必要がある。それは、第03講でも述べられたように、人間が地球進化、さらには宇宙進化の中心にあるからである。 もちろん、《命》という観点からすれば、仏教が教えるようにすべての命が平等である。 しかし、だからといって人間が地球上に存在する意味が他の動植物と同じであるとは言えない。 人間が宇宙進化の中心であるという事実によって、「人間こそ上位」という自惚れを持つなら間違いである。むしろ「人間にしかなし得ないことがある」という強い責任感が湧いてくるはずである。 教育の中で最も分かりやすい例は、4年生の動物学エポックだろう。 そこでは、動物のあり方を人間との関連で理解していく。

■《生きたもの》=《法則的変容(メタモルフォーゼ)》

一例:幼児期の畏敬の念は、晩年になっての他者を祝福する能力へと変容する。

■成長段階

第一・七年期: 世界はモラル的: 過去に生きる
第二・七年期: 世界は美しい: 現在に生きる
第三・七年期: 世界は真実: 未来に生きる

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