2014年11月24日月曜日

第08講要約&一部解説(一般人間学)

■意識的な想起を育成

眠りが不十分だと、自我が過敏になる。 意識に浮かび上がってくるものを統御できず、受け身的に思い出しているだけでは、ぼんやりとした一生を過ごすことになる。 自分の意図で《想起》ができるように教育する必要がある。 この《想起》は眠れる意志の力によって可能になるので、子どものそこに働きかける必要がある。 そのためには、学ぶ対象への興味を育てるてから、そのエポックに入る。

■方法論的コメント:分析と総合

事柄の細部まで分析的に正確に見る必要がある。 次に、そうした断片を統合していく。 この働きは『ゲーテ的世界観の認識論要綱』では、悟性と理性と呼ばれている。
『分析的悟性と綜合的理性』参照

■十二感覚

人間には十二感覚がある。

■認識的な感覚

  • 自我感覚:認識的な感覚であり、これで他者の自我を知覚する。 他者と向かい合い、まず他者が自分に入りこみ、次に自分がそれを押し返し、という繊細な共感反感のせめぎ合いの中で、他者の自我を知覚する。 
  • 思考感覚:他者の思考の様子を知覚する感覚である。難しい本などでは、字は読めても思考の流れが掴めないことがある。このときは、思考感覚が十分に働いていない。 
  • 言語感覚:これで相手の表現のニュアンスを知覚する。言葉に限らず、しぐさなどの表情を読み取るのも言語感覚である。 
  • 聴覚:外界の音を聞きとるのは、この感覚である。

■感情的な感覚

  • 熱感覚:厳密に観ていくと、温度を知覚するのではなく、自他間の温度の流れを知覚する。つまり、右手を氷水、左手をぬるま湯に浸し、30秒後に両手を水道水に浸すと、一方は冷たく、もう一方は温かく感じる。つまり、熱が逃げていく方を冷たく、熱が入ってくる方を温かく感じる。 また、体温よりわずかに高いか低いかの水を用意し、そこに指の先だけを入れる。すると、それが温かいか冷たいか判定できない。ところがそこに手首から先全体を浸すと判定できるようになる。 この現象も、熱感覚では熱の出入りを知覚していることを示している。しかし、それだけではなく、触覚との差も明確になる。つまり、触覚では指先などの局部が鋭敏なのである。それに対し、温度感覚では、服を脱いで全身で熱の授受を行うと、感覚が最も敏感になる。 
  • 視覚:一般に知られた視覚である。ゲーテは「眼は形を見ない」と鋭く観察している。眼は明暗や色彩は観るが、形は観ない。形を知覚するのは運動感覚である。 
  • 味覚:甘み、酸味、塩味、苦みの四つを舌で感じ取る。 
  • 嗅覚:匂いは過去の体験と比較はできるが、概念化できない。色や味を現わす単語はあっても、匂いを示す単語はほとんど(あるいはまったく)ない。

■意志的感覚

  • 平衡感覚:身体のバランスを感じ取る感覚である。視覚に依存するバランス感覚と、視覚なしで感じ取るバランス感覚がある。10歳以下の子どもでは後者がまだ十分に発達していない。 
  • 運動感覚:これによって自分自身の動きを感じ取る。眼で形を追うと眼球が動き、その動きを自覚することができる。これによって視覚を介してフォルムを知覚することができる。 
  • 生命感覚:身体の活動状態を感じ取る。自分が元気であるのか、あるいは、どこかに不都合があるのかを感じる。 
  • 触覚:よく知られた感覚である。これによって人間は自らの境界、そして自らの存在を感じ取ることができる。つまり《自己存在》と密接に関連した感覚であり、最も根源的な感覚である。
■人間が十二感覚を持つ意味
人間は十二感覚を持ち、それによって一体である世界を十二通りに体験する。そして、その個別な体験を成長と共に統合していく。 たとえば、赤ん坊は月を取ろうと手を出すことがあるが、これは視覚と触覚が統合されていない証拠である。 別々な門を通って人間に入ってきたものを統合できるのは、その元となるものがそもそも一体なるものであったからである。 つまり、自然が提供する知覚像は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚等々に対し、完全であり、きちんと統合しうるものである。 そして、シュタイナーは人間が十二感覚を持つ意味として、諸感覚の統合体験が《判断の基礎》になる点だけを挙げている。

■人間を観る視点

まとめと先への展望も含め次のようにまとめている。
  1. 霊的視点:覚醒、夢想、熟睡の覚醒状態が鍵になる。 
  2. 魂的視点:共感・反感が魂界の基本的な力である。 
  3. 体的視点:頭部、胴部、四肢のフォルムを観なくてはいけない。

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