2014年8月11日月曜日

ウマでは○○の発達が全体を支配している

■ウマの走り方

身近によく見る犬の走り方を振り返ってみましょう。犬は後脚で踏み切って、空中姿勢では身体が前後に伸びた状態になっています。
フリーの画像をお借りしました
さて、フランスの画家テオドール・ジェリコー(1791年9月26日-1824年1月26日)の「エプソムの競馬」という作品でウマの走る様子を描いていますし、これは犬の走り方と同じです。これを見て「何か変だ」と思われた人は鋭いです。
ジェリコー『エプソムの競馬』Wikiより

実際、ウマはこのような走り方はしません。空中に跳びあがる直前後の様子を見ますと、その違いが明確になります。
Eadweard Muybridgeの古典的写真集より

犬では、後脚で踏み切って跳ぶのに対し、ウマでは前脚(3つめの画像の左前脚)で踏み切っています。その結果、空中姿勢が犬では前後に伸び、ウマでは前後の脚をたたんだ状態になっています。逆に、脚が前後に開いているのは、着地している状態です。

▲ウマのさまざまな脚さばき

ウマの脚はとても器用で、さまざまな歩き方から走り方ができます。この点については、ウマとの接点が少ない日本人にはあまり馴染みがありませんが、

  • Walk:観光客を乗せた馬の歩み
  • Trot
  • Canter
  • Pace & Stepping Pace
  • Gallop:競馬の全速力

といったものがあります。
trot、canter、paceはなかなか見る機会がありません。ここではyoutubeで紹介しておきます。


こうしたものを見ますと、ウマの脚に非常に活き活きとした力が宿っていることを感じ取れるでしょう。

■脚と足

Ellenbergerより 

ウシやシカなどが偶蹄目で、蹄が中指と人差し指の二本あるのに対し、ウマは奇蹄目に属し、蹄は中指の一本しかありません。しかし、ご承知のように非常に速く走ることができます。ウマの骨格で、たとえば後ろ脚で、どこまでが脚でどこからが足かを確認すると、非常に興味深いでしょう。膝がかなり高い位置にあり、足首から中指の先までは、細い柱のようです。「ウマには足はない」、あるいは、「足が脚化している」というのが、現象の忠実な表現ではないでしょうか。
ここで一旦、走り方に話を戻します。
ウサギなどでは顕著ですが、犬やネコなどほとんどの動物で、前脚と後脚の若干の役割分担が見られます。餌を押さえたりする際には、前脚を使うのです。そして、走る際の踏切は後脚です。ところが、ウマではgallopする際には、前脚で踏み切って空中姿勢に移りました。ですから、「ウマでは前脚が後脚的、つまり本来の脚的になっている」と言うことができるでしょう。
このように見ますと、「ウマとは運動器官である後脚が支配的である動物」と言えるでしょう。このようにウマと《運動》は密接にかかわりますが、運動原則が動物全体を貫いたネコ科の動物とは様子が違います。あくまでも脚であり、胴体部はむしろ動きを失っています。背骨の一部は癒着すらしていて、それだからこそ、全速力でgallopするウマの背中に人が乗れるのです。

■運動器官の発達に関連する形態の変化

首から尻までの背骨の諸部分、つまり頸椎、胸椎、腰椎で最も運動的なのはどこでしょうか。あるいは、頭部で最も運動的な部分はどこになるでしょうか。これは、自分自身の身体を見ればすぐに分かります。動きやすさという点から見れば、頸椎>腰椎>胸椎ですし、頭部では下顎が最もよく動くことは明らかです。この点をウマの骨格で確認してみましょう。頸椎の発達は明らかですし、胸椎は癒着しています。下顎の骨も巨大です。脳の入る部分を想像していただくと、その巨大さが際立つはずです。
Ellenbergerより

■循環系、呼吸系、消化系

私たちの身体は少し走りますとすぐに反応します。最初に気づくのは心拍で、さらには呼吸も変化します。時間が経てばもちろん空腹も感じますが、走っている最中にはあまり感じません。また、感覚器官で運動にとって特に重要なのは視覚で、味覚、嗅覚、触覚などはあまり重要ではありません。
以下のデータ(『馬の科学』競争馬総合研究所=編、講談社ブルーバックス)を見れば、ウマにおいて心臓循環系、呼吸器系、視覚がいかに発達しているかは明らかでしょうし、消化器系の発達度も予想通りと言えるでしょう。
運動のために重要な感覚は、視覚です。

▲心臓の大きさ

種類 体重 心臓の重量 心臓/体重×0.1
ヒト 60(kg) 250(g) 0.42
サラブレッド 485 4688 0.97

▲心博

安静時 最高値 倍率
ウマ 30-35 220-240 6-8
ヒト 60-70 180-200 3

しかも、最高心博数に達するまでに20秒しかかかりません。

▲血液量

動物種 血液量(ml/kg)
サラブレッド 103.1-109.6
ヒト 63.8-97.0

▲脾臓

血液を脾臓に貯えていて、運動時にはそこから血球が放出されます。
動物種 脾臓 赤血球数
サラブレッド 2023 945(623-1300)
ヒト 100-115 450-500

▲消化器

動物種 小腸 大腸 体長との比
ウマ 22.0 7.0 9-13
ウシ 36.0 11.0 20-22
ヒツジ 21.0 7.0 2-29

ウマには胆嚢はありません。また、盲腸は長さが1m,容積が30リットルあります。胃が比較的小さいので、少しずつゆっくりと草を食べます。しかし、いつも食べていろといった状態が続きます。しかも、若いやわらかい草を好んで食べ、丈の高い草を根もとまでは食べません。ウマでは、他の動物に比較して、便秘が比較的多いそうです。

▲眼球の大きさ

奥行き 縦径 横径 重量
ウマ 44mm 48mm 48mm 100g
ウシ 35 41 42 65
ヒト 24 24 24 74
































2014年8月10日日曜日

シュタイナー教育的水彩プロセス:色の物語

■シュタイナーは9歳くらいの子どもに「色のお話」を薦めています。
気取りやのリラさんが気取りながら歩いていると、いたずら小僧の赤がやってきて、ちょっかいを出します。そして、控え目の青さんが、絨毯のように落ち着かせてくれます。
このお話を最後だけ少しだけアレンジして描いてみました。
まず、気取りやのリラさんには、ホルベイン社のオペラ色に少しだけウルトラ・マリーンを加えたものを使いました。参考書のユーネマン著鈴木一博訳『シュタイナー学校の芸術教育』では、「薄めたカーマインが使える」とありますが、私はその色に「気取った感じ」は受けません。
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撮影なので、色彩は厳密ではありません。
目安とおかんがえください
。
シュトックマー社の絵具はシュタイナー学校御用達ですが、シュタイナーがこのテーマを語った1920年にはまだシュトックマー社はありませんでした。ですので、シュトックマー社にこだわる必要はありません。そしてこれは、「気取った感じ」と「リラ」を頼りに、自分で探した結果です。
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そこにいたずら小僧の赤(ヴァーミリオン)がやってきます。
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最後に、控え目な青が絨毯のように柔らかく支え、さらに周囲も落ち着かせてくれます。
03
ユーネマン著、鈴木一博訳『シュタイナー学校の芸術教育』より

文書名 _[ユーネマン]シュタイナー学校の芸術教育ocr_ページ_2

シュタイナー教育的水彩プロセス:助けによって互いが活きる

シュタイナーの「色の物語」を参考に、創案した絵画プロセスです。2年生終盤に相応しいと作者(森)は考えています。

 

■前置き

ウルトラ・マリーンとゴールデン・イエローを混ぜる様子を別な紙で子どもたちに見せながら、次の説明をします。
DSC_1783
(シュトックマー社の)ウルトラ・マリーンとゴールデン・イエローは悪い友達という訳ではないのに、混ざってしまうとお互いの良さが生きてきません。近くにいても、少し離れていれば、お互いがよく引き立て合うのに、不思議です。

 

■絵画プロセス

ああ、また二人が近づきすぎたかもしれません。
DSC_1782
それを見て、ゴールデン・イエローくんの目の早い友だちがやってきます。レモン・イエローです。「ゴールデン君はしっかりしてて、いつもぼくの力になってくれるね。ありがとう」と言って、ゴールデンくんの周りを取り囲みます。
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ウルトラ・マリーンくんにも友だちがゆっくりやってきます。静かなインディゴさんです。「ウルトラ・マリーンくんは、いつも私を軽くしてくれるから、今日は少し助けてあげますね」と言って、ウルトラ・マリーンくんに寄り添いました。
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レモン・イエローさんとインディゴさんは昔からの友だちなので、仲良く混ざっていきました。
 

■別な作例

最後に、二人は仲良しであることが嬉しくて、少し心が温かくなった気がしました」、としてカーマインを入れることもできるかもしれません。

 

■3年生での反感の強まりの前に

3年生になりますと、反感の力が強まり、ルビコンが始まります。それ以前に反感の力(補色に近い色)も使い方によっては美しさに貢献することをこうしたやり方で体験しているのもよいと思います。
絵画プロセス案 by 森 章吾











シュタイナー教育的水彩プロセス:クリスマスツリー

■クリスマスツリー


11月から12月かけての季節、クリスマスツリーはよく取り上げられる題材です。
4年生のぬらし絵で取り上げることができますが、3年生でも状況によっては可能でしょう。
別の所でも書きましたが、1、2年生からぬらし絵で具象画を描かせる先生が「シュタイナー教育」の看板を掲げていたら、無知か詐欺のどちらかです。



結果を見ると、普通のぬらし絵です。
しかし、描いていくプロセスには特別な体験があります。

■描画プロセス


まず、青で寒く、暗い、しかしどこか清らかな雰囲気を描いていきます(プラッシアン・ブルー)。しかし、すべてを塗り尽くしてしまわずに、上に白い部分を残します。


その白い部分を星形に整形し、内側から聖なる光としての黄色を入れます。
整形は子どもには難しいので、丸のままでもいいですし、教師が手伝ってやるのもよいと思います。
筆はよく洗い、ピュアな黄色(レモンイエロー)が描けるようにします。
その星から、光が左右に振れながら、柔らかく降りてきます。
最後に、光が温かさに変わり、バーミリオンで幹を描きます。

■物質的な観方と精神的・霊的な観方

この描き方は、物質的にはありえない方向です。しかし、イエスの降誕という事実の意味を深く考えますと、非常にリアルな表現です。
これをリアルと感じ取れる人は、子どもたちと一緒に描いてみてください。

■あわせてご覧ください。


【重要】低学年はなぜ《ぬらし絵》?

アントロポゾフィー絵画が目指す《色彩からの造形》

2014年8月9日土曜日

ライオンはリズム系が発達した動物

■動き

ライオンに限らず、ネコ科の動物の動きは非常にエレガントです。助走もせずに高いところに音もなく飛び乗りますし、待ち伏せた獲物を襲う時などは、静止からの一気の瞬発力を見せます。
《動きに適した身体》あるいは《動きに満たされた身体》の様子は、骨があまり目立たず、全体を覆うしなやかな筋肉が目につく外見からもわかります。馬では体重の20%が骨であるのに対し、ライオンでは13%程度です。動くのは本来の運動器官である比較的短い前後の脚ばかりではなく、胴部も非常にしなやかに動きます。脚に到っては先端まで動きに満ちています。つまり、爪を出し入れできるのです。これができる動物は多くはありません。動きという点では、尾も非常にしなやかで、表情豊かです。単に虫を追うために動かしているウシの尾とは好対照です。
Wikipediaより

そうした中でも、チーターの走る姿は動物の中でも最もエレガントな動きの一つでしょう。
トラの骨格(Starckより)

■狩り

満腹時のライオンは、まったくの怠け者で非常にだらしなく見えます。ところが狩りが始まると様相が一変し、真剣かつ精悍な様子を見せます。
また、ライオンはネコ科の中で、唯一、グループで狩りをします。仲間と連携しつつ慎重に獲物に近づくときなどは、最高度の緊張感がみなぎっています。獲物をしっかりと見据え、気づかれないように細心の注意を払って獲物に近づきます。ライオンは素晴らしい連携を見せ、たとえば待ち伏せをするグループと獲物を仲間の方に追い立てるグループといったように分業が進んでいます。獲物に襲いかかるときには、まず爪で相手を引き倒します。ちなみに、ハイエナやオオカミのようなイヌ科の動物では、最初から噛みつきます。

インパラを狩るライオン(YouTube)


チーターの狩りでは、それほど緊張感はありません。自らの姿を獲物の前に姿をさらし、ゆっくりと周りを走りはじめます。もちろん、獲物は騒然としますが、チーターはそれを意に介さず、ゆっくり走りながら、獲物を見定めます。そして、群れから一匹を選ぶと、一気にトップスピードで追い、十数秒で決着をつけます。

■食事

食べ方はがつがつしていて、エモーションがむき出しです。食事中は仲間に対しても、うなり声をあげ、威嚇し、一切れの肉を奪いあいます。体重が120kgから240kgのライオンで、一回に30kgから45kgの肉を食べることすらあるといいます。体重の1/4のステーキです。そして、満腹すると完全な怠け者モードに入り、そうした状態が3~4日続きます。平均すると、メスで一日5kg、オスで7kgくらいの肉を食べると言います。

■エモーション

「猛獣でも、不要な殺生はしない」と言われていますが、嵐のときや満月の時には、ライオンは必要以上に獲物を殺すことがわかっています。外的状況で、エモーションが刺激されてしまうのです。
また雄ライオンは、自らの集団(プライドと呼ばれます)を確保するためなど、凄まじい声での吠えます。静かな夜などは、16km遠方まで声が届きます。箱根駅伝の1区で言えば、大手町から川崎くらいの距離です。まあ、この地区が静かになることはありませんが。
ネコ科の動物は基本的に単独行動をとります。実際、エモーションが強いもの同士が集団になるのは難しいでしょう。そのネコ科にあって、唯一の例外がライオンの雌です。これは仮説でしかありませんが、雌ライオンも吠え声をあげ、エモーションを発散することで、集団生活を営んでいるのかもしれません。

■静止と運動、エモーションに関係する臓器

静止と運動を日々繰り返している臓器と言えば、心臓です。「心臓は絶えず動いている」と言うのは、事実ではありません。常に、静止と運動を繰り返しています。たとえば、一番激しく動く右心室の壁の筋肉であっても、基本的には静止していて、必要なときにだけ、一気に動いています。この動き方の特徴は、まさにライオンの行動に現れる特徴と同じです。心臓がエモーションと関係することは、私たちも日常的に体験しています。緊張すると心臓がドキドキするのです。あるいは、怒りから心拍が変化するのを感じ取ることもあります。
運動やエモーションに関係するもう一つの臓器が肺です。待ち伏せは「息を潜めて」ですし、攻撃は「一気呵成」といった表現をします。そこには、呼吸に関係する言葉が含まれます。また、肺もリズミカルに運動と静止を繰り返していることは周知でしょう。
全体重に対する肺の比率は、ウマで0.70%、ウシで0.72%、ライオンでは2.12%です。また、心臓の比率は、雌ライオンで0.57%、雄ライオンで0.45%ですが、ウマは0.75%程度、ハイエナでは1%弱にまで達します。
つまり、胸部における呼吸のリズム、脈拍のリズム、そして呼吸と脈拍のバランスがライオンという動物の本性に大きく関係しているのです。

■頭部の特徴

ライオンの頭部の特徴は、鼻筋が非常に高く、幅が広い点である。鼻とは、頭部における呼吸器官で、そこが発達しているというのは、肺が発達していることと完全に相関関係にあります。
Wikipediaより

2014年8月8日金曜日

鳥(ワシ)は感覚系の動物

■鳥について共通に言えること

頭部、胴部、四肢の比率を考えてみましょう。
一番目立つのは胴部ですが、その中でも上部に当たる胸郭部と、それに繋がる人間の腕に当たる部分、つまり翼が一番目立ちます。

その中心ブロックから(静止状態では)上に頭部、下に脚部があります。カラス、スズメといった脚や頸の比較的短い種類から、サギ、ツルなどの脚や頸の長い種類まで居ます。大雑把に見れば、「頸の長い鳥は脚も長い」という傾向がありそうです。もちろん例外もあり、白鳥などの水鳥は頸が長くても脚は短い傾向があります。
Starck『比較解剖学』より

■鳥の感覚

鳥の感覚器官を比較してみますと、他の感覚に比べ視力が圧倒的に優れています。味覚や嗅覚はあまり発達していません。フクロウでは聴覚も非常に優れています。
猛禽類の眼を観察してみましょう。
Starck、比較解剖学より

まず大きさはかなり大きく、頭蓋骨の中で占める割合は脳より大きいようです。
眼の性能を考えると、非常に高性能で,解像度は6倍の双眼鏡に匹敵するそうです。しかも、私たちが双眼鏡をのぞくと、視野が非常に狭くなってしまいますが、鳥の場合は高解像度でしかも広範囲が見えています。
また、動体視力的要素も非常に優れています。映画のフィルムは、少しずつ変化する静止画を1秒間に24コマの速さで取り替えていくと、人間は「バラバラな絵」としてではなく「連続した動き」と見なします。静止画を送る速度を遅くして、たとえば1秒に1コマの割合にしたら、それはもはや「動く絵」ではなく、やや早いスライドショーでしかなくなります。ところが、その点での視力が優れた鳥では、150コマ/秒がスライドショーに見えるのだそうです。

▲二つの黄点

眼の網膜上には、視細胞が特に密集した部分があります。そこに結ばれる像は、人間の視野では中央部分に感じられます。視界としてよく見える部分と、網膜上での視細胞が密な部分が対応しているのです。私たちはその部分を使って、字を読むなどの集中した作業を行っています。鳥では、網膜上に黄点が二つあります。その二つの黄点を使って、前方を注視しつつ、横にある物体もしっかりと見ているはずです。

▲眼の解剖学的特徴


  • 動眼筋は未発達で、代わりに頸がよく動く
  • 形は全体に偏平である
  • 神経結合(シナプス)がすでに網膜上にあり、そのため網膜が厚くなっている
この三つの現象が何を語るかを考えてみましょう。まず、動眼筋の問題を取り上げます。
友人が居て、その人の斜め前方から話しかけたとしましょう。その時の相手の反応として3つの可能性を挙げます。

  1. 身体全体で自分の方を向いてくれる
  2. 顔を自分に向けてくれる
  3. 姿勢は変わらず、視線だけ自分に向けてくれる

この3つの反応で、相手の自分に対する結びつきの違いが感じ取れるでしょう。つまり、3では自分自身の位置を保っており、相手の気持ちは完全には自分に向いていません。それに対し、2や1では相手の気持ちが私に向いていて、ずっと一体感があります。
これをヒントに考えますと、鳥では3の態度を取ることができず、最低限2の状態で、対象と直接に結びついていきます。
これを鍵にしますと、扁平な眼球というのも理解できます。奥行きが深くなればなるほど、対象と自分を切り離しつつ、いわば認識的に知覚する方向になります。しかし、鳥の場合には、見ている世界とより直接的に結びついている、と言えるでしょう。そして、眼の奥にあるべき視神経が眼球内までせり出してもいるわけです。
こうしたことから、「鳥は視覚世界と密接に結びつている」と言えるでしょう。

また、鳥類の発生では、まず眼が発達してくることも特徴的です。

■羽

羽を持つことは鳥の大きな特徴です。これは非常に軽く、羽毛3500本で2g程度しかないのだそうです。羽の主軸は空洞になっていて、中には空気が入っていますが、羽から枝分かれした細い部分も空洞になっているそうです。こうした空気の力もあって、羽にはすぐれた保温性があります。
また、羽はかなり死んだ器官です。羽が成長してくる際には、当然生きています。しかし、一旦成長してしまいますと、傷がついても再生能力はなく、一枚の羽全部が生え替わる必要があります。だからこそ、羽の一部を切って飛翔能力を弱め、ペットとして飼うことも可能で、次の羽の生え替わり期までは、飛んでいなくなってしまうことはないのです。

▲羽は空気の知覚器官でもある

鳥の羽を持ってみますとよくわかりますが、羽が受ける抵抗で、空気の動きをよく感じ取ることができます。
風の強い日には、カラスは風と遊びます。特に必要もないと思われるアクロバット飛行を行うのです。これは風を感じとっていなくてはできません。そして、その際には翼の先の羽で風を触るような仕草をします。

▲ツルはなぜ一本脚で眠るか

スズメなど多くの鳥がバランスを取って電線にとまっています。ただし、このバランスという意味が人間の場合と大きく違っています。人間にとってのバランスとは《対重さ》でのバランスです。しかし、電線上の鳥にとって重要なのは《対空気》に対するバランスです。そして、そのバランスを見事にとっています。
ツルはなぜ一本脚で眠るか、という素朴な疑問が昔からあります。体温のロスを減らす効果がある、などさまざまな説があります。これに対して私にも仮説があります。《対重さ》でバランスをとるなら、二本脚の方が有利であることは間違いありません。しかし、《対空気》でのバランスでは、一本脚でも二本脚でも大差はありません。つまり、鳥は一本脚で眠ることで、「私は空気の中でバランスを取っている」と宣言しているかのように思えるのです。実際、風が吹く中で鳥が立っているためには、対空気のバランスが重要なのは明らかです。

■鳥は空気に満たされている

羽の軸が空洞になっている点はすでに触れましたが、鳥では胴体内、さらには翼の骨の中に気嚢という器官があり、空気が入っています。
野鳥事典のサイトよりお借りしました

ヒマラヤ山脈を越えることができるアネハヅルという鳥もいるくらいで、鳥の呼吸器は大変にうまくできていますし、そのために気嚢は重要な役割を果たしています。
人間の肺では、その微細部分である肺胞に到るまで《フイゴ》と《ガス交換》の二つの役割を果たしています。ところが、鳥ではこの二つの役割を分けているのです。つまり、《フイゴ》の役割は気嚢が果たし、《ガス交換》はそれ自体は動かない肺が行っています。そして、血液と空気が常に流れるなかでガス交換をしているために、上空の空気の薄いところでも効率よくガス交換できるのです。

■地水風火の火との関係も密である

鳥の体温は全般に高く、ノスリでは40.5度にまで達します。そうした体温維持と関連して,一日に体重の1/6の餌を摂るものもいます。体重60kgの人が10kgの食事をしている勘定です。
また、鳥では、呼吸のプロセスで熱が生じることが知られています。このように、風や火との関係は強いものの、水や地との結びつきは強くありません。身体に矢が刺さっても、さしたる出血もせず、生活を続けるカモなどがニュースで紹介されたこともあります。

鳥が水浴びをすることはよく知られていますが、鳥は濡れません。水と一体になることはないのです。

■その他の特徴


  • 背骨が相互に癒着している
  • 咀嚢や砂嚢を持つ

■人間の頭部との比較

人間の骨格で、骨が癒着していく傾向が最も強いのは、頭部です。新生児では大泉門が開いていますが、約二年をかけて閉じていきます。しかし、その閉じる傾向はその後も続き、骨同士が縫合面でつながり、さらには縫合面すら見えなくなります。その骨格融合傾向が鳥では胴部にも見られます。
人間では、食べた物をまず口腔内で咀嚼し、細かくします。しかし、鳥では、「鵜呑みにする」という表現があるくらいで、ほぼ丸呑みです。しかし、まったく咀嚼しないわけではなく、胴部の咀嚢や砂嚢で食べた物を細かくします。特に砂嚢では、砂まで飲み込んで、食物とすりあわせることで、食物を粉砕しています。つまり、人間では頭部で行われている咀嚼という働きが、鳥では胴部で行われていることになります。
人間でも、骨の中に空気の入った空洞があります。それが最も顕著なのが頭部の副鼻腔です。また、前に書いた通り、鳥では胴部に気嚢という空洞がありました。つまり、肺以外の空気部分を見ると、人間では頭部がそれに当たり、鳥では胴部がそれに当たります。

このように見ますと、鳥とは身体全体が頭部であり、鳥の頭は視覚と聴覚の出先機関として、空間に張り出している、と考えることができます。


鳥の姿はカメラマンの憧れでもあります。こんな写真を撮る人もいました。
ツバメの飛翔


この論考の基本は、Ernst=Michael Kranich先生のレクチャー並びに書籍です。そこに、いくつかの現象を加えてました。

植物の緑を描く

■植物の緑
4年生では、ぬらし絵で初めて具象画に取り組み始めます。エポック授業では、『動物学』を取り上げますので、植物画が5年生にシフトする場合も多いかもしれません。
その最初は、具象画にはせず、単に植物の緑を描きます。ただ、緑と言っても植物の緑は本当にさまざまです。ツバキのように濃い緑色もあれば、菜の花や新緑のモミジなどは黄色の輝きを持っています。そうした緑を描くにあったってもシュタイナーのアドヴァイスが生きてきます。
■命の温かさ
鉱物とは違った、命を持つ存在である植物を描くに当たって、シュタイナーは、まず命の温かさを表現するように言っています。つまり、赤(カーマイン)を(全面に)下塗りするのです。
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そこに、光(黄)を描きくわえます。
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さらに、風(空気)や水の要素を加えます。
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すると、もやもやとしたさまざまな緑が現れます。この緑を絵具チューブから直接出した色と比べてみましょう。
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絵具の緑は、確かに美しいですが、植物の緑としては、赤から始めた緑の方が、「らしさ」を伝えてくれます。
そして、植物学的に見ても、葉は、命と光と風、そして水の産物です。