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2014年8月8日金曜日

植物の緑を描く

■植物の緑
4年生では、ぬらし絵で初めて具象画に取り組み始めます。エポック授業では、『動物学』を取り上げますので、植物画が5年生にシフトする場合も多いかもしれません。
その最初は、具象画にはせず、単に植物の緑を描きます。ただ、緑と言っても植物の緑は本当にさまざまです。ツバキのように濃い緑色もあれば、菜の花や新緑のモミジなどは黄色の輝きを持っています。そうした緑を描くにあったってもシュタイナーのアドヴァイスが生きてきます。
■命の温かさ
鉱物とは違った、命を持つ存在である植物を描くに当たって、シュタイナーは、まず命の温かさを表現するように言っています。つまり、赤(カーマイン)を(全面に)下塗りするのです。
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そこに、光(黄)を描きくわえます。
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さらに、風(空気)や水の要素を加えます。
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すると、もやもやとしたさまざまな緑が現れます。この緑を絵具チューブから直接出した色と比べてみましょう。
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絵具の緑は、確かに美しいですが、植物の緑としては、赤から始めた緑の方が、「らしさ」を伝えてくれます。
そして、植物学的に見ても、葉は、命と光と風、そして水の産物です。

2014年7月7日月曜日

ゲーテ・シュタイナー形態学の極意


■課題「モミジについて考えてください」

こんな課題が出たら、皆さんは何を考えるでしょうか?
モミジの葉の形、葉の間を抜けてくる涼しげな風、紅葉に染まる景色、などさまざまな情景が思い浮かぶでしょう。そのどれものが間違いではありませんが、外的印象に振り回されることなく、認識の深みへと入っていくためには、それなりの方法が必要です。
そこで最も大切なのは、感覚的知覚できる事柄、たとえば、形や色に留まって、それについて考えることです。
形や色をありのままに思い起こすことが、ゲーテ形態学の第一歩といってよいでしょう。


■二通りの思い出し方

形を思い出すにあたっては、最低限、次の二つの方法があります。(他にもあるようでしたら、教えてください)

  • 写真で撮るように、外形を覚え込む
  • 形の法則から、形を内的に作り出す

上の方法は、非常に難しく、これができる人はごく希です。多くの人は、形の法則を意識はしないにしても捉えていて、それに沿って形を内的に再創造しています。実際の自然がやっているのもこの方法です。あらゆるモミジの葉は、そこにある統一的な法則に従って形成されますが、出来上がってくる形は、一つ一つ微妙に違っています。モミジの葉でも、二枚の葉が物質的に同じ形をしていることはありません。

■法則を意識できなくても、法則から再創造している

この段階で、葉の概形を描いてみるのもよい練習方法です。このblogのタンポポのところで、タンポポの葉の形を描ける人が少ないことを取り上げました。人間は、「タンポポの葉はギザギザ」というように、非常に単純に概念化してしまう傾向がありますから、実際に描いてみることで、自分の陥っている誤りに気づきやすくなるからです。「実際に見ればわかる」では不足で、最低限「内的に再構成できる」レベルに達していなくてはなりません。
このようにして形を再創造しますと、その際に感情が非常に重要な働きをしていることが分かってきます。「なめらか」とか「窮屈」とか「抑えられた感じ」等々です。色彩を思い起こすには、感情の役割がさらに重要になってきます。同じ緑でも、軽やかに感じたり、重く感じたりします。そうした感情も含めて、現象をありのままに思い起こす努力をしていくのです。

■ゲーテ・シュタイナー的形態学の第二段階

このようにして「モミジの葉を思い浮かべる」という思考を密にしていきますと、次の段階に進むことができます。この第二段階で行なうべきは、「モミジの葉を思い浮かべている自分の思考を観察する」ことです。もちろん、これは容易ではありません。第一段階の思考が安定していませんと無理ですし、思考にゆとりがなくては見えてきません。
この方法は、次の一般法則から見ても、妥当なやり方です。

  • すべての形は動きの結果である
  • すべての素材はプロセスの結果である

ここで紹介している認識法では、まず産物である《形》を思考の中で再現します。そして次に、その形を作り出している思考内での動きに着目するわけです。そして、この動きにこそ、対象の本質が現れてくるのです。それを検証するには次のようにします。
まず私たちは、モミジの葉の形を思い起こし、そこにある動きを認識しました。それができたら、同じことをモミジの枝振り、花の様子、果実の様子、葉の色の変化について行なってみるのです。初めの認識が正しければ、枝振りなど、モミジの他の性質に、《葉において見抜いた動き》と同じ質の動きを見出すはずです。いわば、モミジが一貫したモチーフをさまざまなヴァリエーションで演奏していることが分かるのです。そして、それがモミジの本質の一側面です。

■《形》から《動き》へ遡る

結果としての《形》ではなく、形を導き出す《動き》に意識を向ける、というやり方は、アントロポゾフィーでは一貫しています。きちんとした先生に習っているなら、オイリュトミーで表現するAとは、《形》ではなく《動き》だと聞いているはずです。常に動きに意識を置いた芸術なのです。ですから、オイリュトミーをすることで、ゲーテ・シュタイナー的認識力も高まっていると言えるのです。賢くなりたかったら、きちんとオイリュトミーをすることです。舞台に上がるような優雅なオイリュトミーも悪くはありませんが、地味な動きをきちんと体験することに意識を向けることで、その効果は倍増するでしょう。結果としての《形》にばかり意識が行ってしまったとき、オイリュトミーは死んでしまいます。
このような観方で外に出ますと、たとえば、イネの葉ですら、一つの謎に感じられるはずです。「細い葉は、イネだから当たり前」と考えますか?「イネ科やユリ科の単子葉植物では、並行脈」と習ったら、謎は解明されているのでしょうか?あるいは、イネのDNA配列をすべて分かれば、葉の形は謎ではなくなるのでしょうか?

■例

ドクダミの観察」などで、この方法を実践しています。

2014年6月24日火曜日

《四大》とプラトン立体

■五つの正多面体


日本ではあまり馴染みのない呼び方ですが、正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の五つの正多面体をプラトン立体と呼ぶことがあります。その理由は、プラトンの『ティマイオス』という本にこれらの立体が地水火風との関係で紹介されているからです。

■『ティマイオス』


『ティマイオス』は日本ではあまりお目にかかりません。同じプラトンの著作でも『饗宴』や『ソクラテスの弁明』などは、文庫本も数種類出版され、比較的入手しやすい状況ですが、『ティマイオス』は岩波書店のプラトン全集の中に収録されたものしか私は知りません。その翻訳の日本語もかなり読みにくいものでしかありませんので、内容をきちんと把握するのは、かなり困難です。
ところが、ヨーロッパの文化的伝統では、非常に重視された著作だったようです。その一番の証拠が、ラファエロの筆になるヴァチカンの『アテネの学堂』の絵です。この作品の中央には、左にプラトン、右にアリストテレスが配され、それぞれ特徴的なしぐさをしています。「イデア論」を説いたプラトンは右手人差し指を上に向け、「中庸の徳」を語ったアリストテレスは右手のひらを下に向け、前方に差し出しています。
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この二人は左手にそれぞれ本を持っていて、両者とも書名を読み取れます。プラトンは『TIMEO』アリストテレスは『ETIC』という文字が読み取れます。これはそれぞれ、『ティマイオス』と『エチカ(倫理学)』を現しています。
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この二人の人物に沿って、人間を二つのタイプに分ける場合もあります。プラトニカーとアリストテリカーです。アリストテレスは『自然学』『政治学』なども著していて、地上の世界にも深い関心を持ち、そこに分け入っていきます。一方、プラトンの関心は、もっぱらイデア界、つまり理念的世界に向いています。この両方の質が的確に結びつくとき、人類の認識は一気に高みにのぼります。それは、一個人の内面で起きることもありますし、二人の人間の出会いによって生じることもあります。
その後者の典型とも言えるのが、天文学者のティコ・ブラーエと数学者ケプラーの出会いです。ケプラーは惑星に関する法則を発見し、天文学で有名ですが、彼自身は近眼で、星をまともに見ることはできなかったそうです。生まれはシュツットガルト近郊の貧しい家でしたが、幾何学、数学の才能に恵まれ、その方面での論文も残していますし、音楽の調律に関する論文も書いています。
一方のティコ・ブラーエはデンマークの貴族の生まれで、国王の援助を受け、ヴェン島に天文台をつくり、当時の最新鋭の機材を駆使して、肉眼観測としては最高精度の天体データを収集しました。友人から聞いた話では、彼の城には地下牢が作られていたそうです。なぜなら、天体観測にかかる費用を捻出するために、島民に重税を課し、しばしば一揆が勃発したからだと言います。実際、1599年には一切のデータと観測機器を持って逃げだし、ウィーンのルドルフⅡ世に庇護を求めました。後にティコと出会ったケプラーが「彼は、私の何年分もの収入に相当する機材をいくつも持っている」とぼやいたそうです。
ティコの綿密なデータとケプラーの素晴らしい計算力、つまりアリストテリカーとプラトニカーの才能が出会って、はじめて惑星に関する運動力学的法則が明らかになったのです。
このように、プラトニカーもアリストテリカーもそれぞれ違った分野に才能を持っています。しかし、事、地上的な成功という意味では、アリストテリカーの方が優位なようですし、ラファエロもそれを巧みに描き分けています。

足下

■五つのプラトン立体の中の四つと《四大》


さて、ティマイオスの中で、立方体は最も安定しているので、《地》に振り分けられます。
hexa
最も軽く、また鋭くどこにでも入り込んで行くものとして、正四面体が《火》に割り当てられます。
tetra
次に鋭いもの、つまり正八面体が《風》に、そして残りの二十面体が《水》に割り当てられます。
octa
icosa
そして、正十二面体については、その存在も語られていません。
意味がわかりにくい気はしますが、岩波書店のプラトン全集からの抜粋を入れておきます。

文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_1
文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_2
文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_3

■正十二面体はエーテルに対応


ピタゴラス学派内では、正十二面体は知られていましたが、その存在を外部に漏らすことは禁じられていたと言います。そして、彼らはそれをエーテルに対応させていたといいます。
dodeca
ギリシャ時代に言われていた「エーテル」が何を意味するかは推測の域を出ませんが、シュタイナーはこのエーテル領域をさらに詳しく述べていると言えるでしょう。つまり、
  • 熱エーテル
  • 光エーテル
  • 化学エーテル(響きエーテル)
  • 生命エーテル
の四つです。この詳細についてはまた別な機会に譲ることにしますが、とりあえずシュタイナーの発見(あるいは報告)によってこのように細分化されていることだけをご紹介しておきます。
四大と四エーテルを総合した秩序は、
生命エーテル
化学エーテル
光エーテル
熱エーテル
《火》
《風》
《水》
《地》
あるいは視点を変えて、
《火》  熱エーテル
《風》      光エーテル
《水》         化学エーテル
《地》             生命エーテル
になります。