2019年6月12日水曜日

『魂の暦』第09週、朗読に不向きな翻訳

1912年6月2日~6月8日



Vergessend meine Willenseigenheit,
  私の意志の固有性を忘れつつ
Erfüllet Weltenwärme sommerkünded
  世界の熱が夏を告げつつ私を満たす
Mir Geist und Seelenwesen;
  霊と魂存在で;
Im Licht mich zu verlieren
  光の中で私を失うように
Gebietet mir das Geistesschauen,
  霊的観照は私に強く要求し、
Und kraftvoll kündet Ahnung mir:
  そして予感は力強く私に伝える;
Verliere dich,um dich zu finden.
  「汝自身を見出すために、汝を失え」

第一行の「 meine Willenseigenheit=私の意志の固有性」から謎めいた表現です。意志には個的な部分と個を超えた部分があり、その個的な部分は忘れると私は解釈したいです。そして、世界の熱が私に、物質的な部分ではなく、霊と魂存在を満たすというのです。
さて、熱についてシュタイナーが語っている講演『霊的実相から見た宇宙進化』があります。感覚界の背景には霊的な実相があり、熱や光の実相が何であるかを述べています。たとえば熱の霊的な実相は、土星紀におけるトローネのケルビームへの供犠であると述べています。第3位階のトローネが自らのすべてをケルビームに捧げることから意志の熱が生まれ、さらには感覚知覚できる熱が生じたと言います。
また、その体験へ到る道筋では、自分をなげうち、すべてを捨てる勇気が必要だと述べています。そしていわば無になり、いわば自分が細い棒のようになったと感じるまでになります。するとその後で、自分が温かさに包まれ、それを勇気の海のように感じるといいます。この第9週の「失うことで得る」というモチーフは、どこかそうした熱体験、トローネ体験に通じるものがないでしょうか。
また、「光の中で自分自身を失うように」という部分で、熱から光への橋渡しが暗示されます。元素(エレメント)領域とエーテル領域を連続で考えると、地水風火より上にあるエーテル領域では、熱エーテル、光エーテル、化学エーテル、生命エーテルといった領域があります。つまり、光エーテルは熱エーテルの一つ上の領域です。人間はそこに昇って自らを失うことが暗示されています。
熱、光、予感の3段階で、自分を捨てる覚悟が求められます。

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