2016年2月1日月曜日

『農業講座』第4講要約

霊に入り込んでいく諸力と諸素材
:施肥の問題

微視的な物質科学と巨視的な精神科学の考え方の違い


■04-01


物質科学は微視的に狭いところに入り込んで行く。 霊学は宇宙的な視点、巨視的視点から農業を考える。

■04-02


栄養学などでも、何年か経つと学説が変っている。 正しい立脚点を持たないからである。

■04-03


霊学も実際生活への応用分野では、その霊的視点がゆえに批判される。

■04-04


肥料は植物の栄養であると考えたことが誤りの始まりである。

霊学的栄養学の概要


■04-05


栄養においては日々の食べ物が重要だと思われている。 しかし、体内に摂取された栄養物の大部分は再び体外に出される。重要なのは、代謝的意味での量的秩序ではなく、食物から生命的諸力を正しく取り込むことである。その力によって、歩行、労働、手を運動などができる。

■04-06


身体を物質的に満たし、蓄積するために必要なものは、その大部分が感覚器官や皮膚、呼吸を通して取り込まれる。 つまり身体は、絶えず極度に微細な希釈度で素材を取り込み、凝縮して体内に蓄積する。 身体はそれらを空気から取り込み、爪や髪など、密なものにする。 栄養物が摂取され、肉体を通り、爪や垢などになるというのは間違った考え方である。そうではなく、呼吸や感覚器官などを通して非常に繊細なかたちで取り込まれ、生体を通り抜け、排出される。 胃を介して摂取されるものも重要だが、それは身体に内的活性や意志的諸力を、ちょうど燃料のように鼓舞する。

■04-07


このように霊学的研究で明らかになる真実は現代科学と正面からぶつかる。 しかし両者の相互理解は必要である。現代科学には展望がないからである。 実験や事実は現代科学も間違っていません。しかし理論化によってひどいことになり、自然科学との相互理解が難しくなっている。 しかし、農業を含む最も重要な領域では相互理解が不可欠である。

■04-08


正しいやり方のためには霊学的な正しい見識が必要である。 せっかくのものを無意味に使ってしまわないように。

▲施肥におけるエーテル的なもの

△腐植土の山と樹の比較


■04-09


樹を考えると、それは普通の一年生植物とは違い、樹皮などに覆われている。 腐植(含動物死体)の盛り土と樹とを比べる。

■04-10



上に窪みを作った腐植の盛り土と樹の模式図を描く。 樹では、外側は固く、内側は成長することで樹の形になる。 この二つは実はよく似ている。 土の特徴はエーテル的生命的なものを含む点で、これは本来、植物的覆いつまり樹皮への途上にある。 これは単に盛り土をしてそこに腐植質を入れるというのではなく、盛り土を高次の発達形態で取り巻いているのである。

■04-11


通常の地表よりも少し高いところで、大地内部と遮断されると、エーテルで自らを満たそうとする特別な傾向が現われる。 無機質なごく普通の土を肥沃にしたいなら、盛り土に植物廃棄物などを入れるとより簡単にできる。 こうすると土自体が内的に活発になり、植物に似たものになろうとする傾向を持つ。 樹木の成長でも同じプロセスが行なわれている。 植物が盛り上ると、樹皮が植物を取り囲み、樹木全体にエーテル的生命的なものが与えられる。 それはなぜだろうか。

植物の内と外は生命的に連続している


■04-12


植物の境界内のものと、周囲の土壌は非常に近縁だとイメージする。 生命活動は根で終わるのではなく、そこから出て地中に入り込むので、植物内と外では生命に明確な境界線はない。 これがまず施肥についての基本事項である。

■04-13


施肥とは大地に命を与えることである。 植物は死んだ土壌で育ててはならないし、結実までに必要な要素を大地の生命から得られる必要がある。 実際、植物は大地の生命に寄生している。 地球上のほとんどの土地では、土壌だけで十分な腐植分が得られず、必要な生命性を得るほどは腐植を分解できないので、施肥によって植物の成長を助ける必要がある。ただし例外としては、黒土といった土壌があり、自然自体が大地の生命を十分に補っている。

△生命的なものは内に悪臭、外に良香


■04-14


生命を持つものの本質には常に外側と内側があり、皮膚状のものが内と外を分けている。 その内側に注目する。



■04-15


生物内の力の流れは、外に向かうだけではなく、皮膚に押し返され内側に向かう流れもある。 また生体は、種々の力の流れにも外側から取り囲まれているし、内と外は区別される。 皮膚の内側で生命を喚起し、生命を保持するものは悪臭を放つ。 通常なら匂いを放ち、匂いを広げるものがあります。それを外に向けて放射させ過ぎず、内部にため込むことで生命が成り立つ。 匂い発生的な生体内の生命が、生体内で何かを作り出し、それをできるだけ境界である皮膚を通して外に出さないようにする。生体とは、内側で匂い、外側での匂いが少ないほど、健康であると言える。

■04-16


植物生体は匂いを放出するのではなく、取り込む。 よい香りを放つ植物が生育している牧草地には促進的作用がある。 それらの働きを見通しますと、お互い同士の生命的な支え合いに気づく。 よい香りとは単なる生命の匂いではなく、外から植物に働きかける。 こうした事柄すべてに活き活きと個人的に関係するひつようがあり、それによって自然の現実にしっかりと入り込むことができる。

▲施肥におけるアストラル的なもの

△生命的なものに加え、窒素(アストラル的)も施肥する


■04-17


施肥の役割は土壌に生命を配分することだが、それだけではない。 昨日は、ある特定の力線に沿って窒素が広がり、窒素の助けで生命が運び込まれると述べた。それが可能になるように大地に作用する必要がある。 つまり、地中の諸構造に生命をもたらす窒素を施肥によって大地に送らなくてはならない。大地に、植物の下部にある諸構造に生命をもたらさなくてはならない。 これが施肥の役割である。 これを正確で事柄に即したやり方で行なわなくてはならない。

△肥料づくりの具体的な指針…堆肥、石灰、ピート


■04-18


純粋に鉱物的なものによる施肥は《地》には達せず、地中の《水》に達するだけであり、地中の《水》には作用するものの《地》は活性化できない。 したがって鉱物的肥料で育った植物を見ると、活性化された《地》ではなく《水》からの刺激による成長の様子がわかる。

■04-19


肥料の実践的に研究には堆肥(コンポスト)が最も向いている。 農業や園芸由来のもの、腐ったイネ科の草、落ち葉、さらには動物の死骸などが土壌を活性化させる。 これは重要で、エーテル的なものだけではなくアストラル的なものさえ含んでいる。 厩肥は生きたエーテル的なものやアストラル的なものを多く含んでいるが、堆肥ではより安定した形で含んでいて、結びつきがよく、特にアストラル的なもので顕著である。 過剰に強く吹き上がるエーテルがあると、窒素に対するアストラル的作用に影響が出るて、活性化しない。

■04-20


過剰なエーテルを抑えるには石灰質が有効で、生石灰(CaOかCa(OH)2のどちらかは訳者には不明)を堆肥の山に加えると、香りを放つアストラルにはそれほど強く働きかけず、エーテル、さらには酸素も吸収し、アストラルがすばらしく作用できるようになる。 つまり、エーテルを迂回せず直接《地》にアストラルを非常に強く入り込ませる傾向を堆肥によって土壌に与えることができる。

■04-21


エーテルを迂回する必要のないアストラルは《地》に非常に強く入り込み、《地》がアストラル化され、そのアストラル化されたものの道筋に沿って窒素系が浸透する。これは人間生体内の植物的なプロセスと非常に似ている。ただしこれは、果実形成的プロセスではなく、茎葉形成プロセスに重点がある。 人間は適切な仕方で栄養物から活性化力を取り出せる必要があった。 《地》にこのプロセスを伝えることで、大地も同様に活性化力の取り出せるように刺激をしている。 これで大地を整えて作った飼料は、体内に入ると動物を内的に活性化し、動物身体を内側から活き活きさせられる。 この堆肥は牧草地に適していて、必要な別な手順も加えれば優良な乾燥飼料になる牧草を育てられる。 しかしこれらは、事柄全体を見通し、それによって勘を育てることで正しく行なうことができる。

適度なアストラルを持つ肥料づくり


■04-22


これまで述べたやり方で堆肥を積むだけだと堆肥のアストラルが非常に容易に拡散してしまう可能性がある。 そこで堆肥の山をできるだけ匂わないようにする必要がある。そのためには、堆肥と乾燥ピート(泥炭化したミズゴケやカヤツリグサなど)を交互に薄く敷いていくとよい。 こうすると匂いとして発散してしまうものを、内部に保持できる。 どのような化合物になっても飛散する傾向を持つ窒素を保持できるからである。

▲アストラル的力のマネージメント、調合剤500番について

△ウシの鞘角と他の動物の枝角について


■04-23


なぜ雌牛には鞘角があり、シカなどには枝角があるか。 雌牛の鞘角について考える。 生命の力の流れには、外向きだけでなく、内向きのものある。 1.外向きと内向きの力の流れを持つ丸いこい形の生物を想像する。ここには何の規則性もなく、非常に奇妙な外見になる。 2.この丸っこい形態に胎生初期に見られるような小さな足の突起があるとするが、そのままではグロテスクである。 3.実際の雌牛には鞘角が蹄があり、その部位では非常に強い内向きの流れがあり、外的なものは特に完全に遮断されている。 皮膚や頭髪には透過性がありそれを介した外とのコミュニケーションがあるが、鞘角や蹄では外に向かっての流れが完全に遮断されている。 それゆえ、鞘角形成や蹄形成は動物の形態形成全体と関係する。

■04-24


枝角形成では様子がまったく違う。 枝角形成では流れが生体に戻るのではなく、外に一歩導かれ、力を外に逃がす一種のバルブの役割を果たしている。 シカはある種の流れを外に送り出し、周囲世界に生き、神経や感覚に有機的に作用するあらゆるものを取り込み、周囲の世界としっかりとコミュニケーションを取っているがゆえに美しい。 シカは敏感であるし、枝角を持つすべての動物はやや神経過敏であり、それは動物の目から読み取れる。

■04-25


アストラル的エーテル的な形成作用や消化器系までをも活性化させる作用は、雌牛の鞘角によって内側に送り込まれる。 この鞘角や蹄からの放射によって消化器系が活発に活動する。 口蹄疫では周囲的なものが消化器系に戻って作用しているし、鞘角や蹄の上述の役割を見通せば口蹄疫も理解できる。 鞘角は、生命放射、さらにアストラル放射を内に返す。 もし生きた雌牛の腹部に潜り込めたなら、アストラル的生命的なものが鞘角や蹄から内側に向けて流れてくる様子を嗅ぎ取ることができる。

△鞘角の力と牛糞を利用したプレパラートについて


■04-26


こうしたことをヒントに、一般的な厩肥の作用をさらに高めることができる。 牧草などが外から家畜の体内に入り、そのある一部が栄養として取り込まれるが、この栄養は、身体素材を増大させるのではなく、生体内で諸力を活性化するきっかけになった。そして、それ以外は再び外に排泄される。 しかしその排泄物は、一度は生体内にあり、アストラルやエーテルに満たされていた。 排泄物、つまり糞では、アストラルにおいては窒素保持力に満たされ、またエーテルにおいては酸素保持力に満たされている。

■04-27


この排泄物の塊を何らかのかたちで大地に移しますと、大地にエーテル的アストラル的なものを与えられる。 こうしたエーテル的アストラル的なものは正しい意味で動物の腹内にあった。そして、消化活動では植物的な諸力が作り出されているので、糞には植物的に諸力が含まれる。 こうしてエーテルやアストラルが生体内部から外に放出されている。 糞中のエーテルやアストラルを保ったまま使えるように、相応の方法をとらなくてはならない。 それによって、単に《水》に作用するのではなく、土壌や《地》を活性化し、さらにアストラル化もでき、これによって大地の非生命性を克服する。

■04-28


糞は分解、解消の途上にあり、その最上の時点は、それ自身が持つエーテルやアストラルによって解消し始める時である。 このとき糞は寄生生物や微生物にとっての良好な栄養基盤となり、それらが発生し始めることでわかる。 ただし、こうした寄生生物が肥料の質をよくすると考えるのは間違いである。 こうした微生物の有無は、その肥料の状態の指標でしかない。 これらのバクテリア等を肥料に投入することで肥料の質を高められると考えるなら、それは幻想でしかない。

△具体的な作り方と適用法


■04-29


雌牛の鞘角に牛糞を詰め、75cmから150cmの深さに埋める。 ただし、あまりに粘土質であったり砂地である場所は避ける。 これによって、この鞘角の中の諸力、雌牛の体内で作用していた諸力、つまり生命的、アストラル的なものの反射を鞘角の中に保持できる。 さらに鞘角の外側が土で覆われているので、エーテル化やアストラル化へと向かう放射は、すべて鞘角内部の空洞に向かう。 牛糞で満たされた鞘角にはこうした諸力が含まれ、それを大地が内的に最も活性化する冬の間地中に埋めておく。すると、周囲の大地にあるエーテル的な活性化力をすべて引き寄せる。 この活き活きとしたものすべてがこの牛糞の中に保存され、この鞘角の内容物は、非常に高度に濃縮された活性的肥料力を得る。

■04-30


その後、鞘角を掘り出し、牛糞として入れたものを取り出す。 ドルナッハでの最近の実験では、取り出されたものはまったく無臭であることが確認された。 その無臭の内容物が、水を作用させることでわずかに香り始めたのは印象的であった。 これによって、香るものすべてが凝縮され、何らかの作用を受けていることがわかる。 この中にはアストラル的エーテル的な非常に大きな力が含まれている。 この内容物を水かぬるま湯で薄めれば、そうした力を実際に使えるようになる。 量的には、約1200m$^2$に対し、鞘角一本分を60リットルバケツ半分の水で薄めればよい。 ただし、鞘角の中身を水と徹底的に結びつける必要がある。 つまり、まずバケツの壁面に沿って高速で撹拌し、中央部がほぼ底に付くくらいに凹ませる。 次に、すばやく逆方向に回転させ、全体がぶつかり合うように泡立たせる。 これを一時間ほど続けると、水と鞘角の中身が徹底的に混ざり合う。

■04-31


この仕事の負担はけっして大きくはなく、労力がいかに少ないかを考えてみよ。 無臭のものから微かな芳香が漂ってくるのを楽しみながら撹拌してくれる人は見つかるだろう。

■04-32


これは耕作中の大地に散布し、プレパラート溶液を《地》と一体化させる点が重要である。圃場が狭ければ普通の散布機、広い場合には特別な散布機を組み立てる必要がある。 通常の肥料にこの《霊的な肥料》を加えると、実りがいかに豊かになるかがわかる。 これにはもう一つ別なやり方が直接に結びつく。

▲宇宙的力のマネージメント、調合剤501番について

△具体的な作り方と適用法


■04-33


ここでも雌牛の鞘角を使い、石英、ケイ石、正長石、長石などのいずれかを小麦粉くらいまで微粉末にし、さらに粥状あるいは薄いパン生地状にして、鞘角に詰める。 そして、冬ではなく夏を地中で越させ、晩秋に取り出し、翌春まで保存しておく。こうして地中の夏の営みにさらされたものを取り出す。そしてそのエンドウマメ大の塊、あるいは状況によっては針の頭くらいの塊をバケツ一杯の水に入れて約1時間かき混ぜる。 これは特に野菜などで有効で、植物自体に散布する。 ただし、乱暴に注ぎかけるのではなく、霧状に吹きかける。そうすることで、500番プレパラートの地中からの働きかけを、別な側面から補助しているのがわかるだろう。

△500番と501番の相互作用


■04-34


不均一ではなくバランスよく圃場に散布されると、牛角糞プレパラートが下から押し上げ、石英粉末プレパラートが上から強過ぎず弱過ぎず引き上げる様子が見られる。501番は農場全体に微かに振りかけなくてはならないが、そのような機械を制作し、使用することができる。 これは、特に種子を採る作物ではすばらしい効果を発揮する。

▲人間進化を促す農産物をめざす


■04-35


これが大きな関連の観察から得られる成果である。 指から人間全体を理論的に構築しようとするような狭い考え方でも、成果は上がるし、それは無視できない。 今日の研究が目指しているのは、農場経営の経済性である。 したがって、たとえば巨大なジャガイモなど膨れあがった作物が得られると、農家は驚嘆し、それを喜ぶ。 しかし、経済性は最重要事項ではない。

■04-36


食物を人間が食べたときに、人間存在の発展を促すかが最も重要である。 果樹園ですばらしい見栄えの果物を収穫できても、それは単に胃を満たす物体でしかなく、人間の内的存在を有機的に発達させるものではないかもしれない。 人間が自らの生体にとって最上の栄養を得るという地点には、今日の学問が達することはない。なぜなら、それを目指してはいないからである。

■04-37


しかし、霊学の根底には自然の摂理全体があり、全体から考えられているので、個別のことを語っても、それは常に全体につながっている。 人間にとって、動物にとって最上であるような農業を営もうとするなら、それ以外の結論はありえない。 人間を基本にし、人間から出発して考察するなら、常に人間本性と最もすばらしくかかわる視座が生れる。 この点が、私たちの考察法と今日の通常の考察法の違いである。

0 件のコメント:

コメントを投稿