■アブラナとの出会い
アブラナに対する一番の印象は、「黄色」でしょう。花が黄色いのは言うまでもありませんが、つぼみの時ですら、非常に黄色に近い緑色で、とても明るい印象を受けます。
アブラナが一面に咲いていますと、個々の形には意識はいかず、ただその光る色合いに圧倒されます。
ゲーテも『色彩論』の中で、光と近い関係にある黄色は、今ある場所から広がっていく傾向がある、と述べています。つまり、形としてまとまりにくいのです。
山村暮鳥の詩「風景」には、そうした体験が描かれているように思います。
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしゃべり
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな
■一本のアブラナ
個々の植物には意識が向きにくいですが、しっかりと見ますと、茎は重さに対抗する方向にしっかりと伸び、わずかに花の近くが光の方向を向いていることが分かります。
つまり、目立たぬながらもしっかりとした軸を持ち、そこから周囲の世界にひたすら広がっていく動きがアブラナの特徴と言えるでしょう。
■アブラナと光
アブラナは日当りの良い立地を好み、日照が不足すると花の生育が悪くなります。
また、古くは油の素として栽培され、その油は行灯の光として使われました。
やはり、本物の輝きには及びませんが、「光の植物」という体験は描けるかと思います。
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