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2014年7月15日火曜日

ペンの考察・・・デザインとは

■手の仕事におけるデザイン

シュタイナー教育では手の仕事を重視し、1年生から編み物などに取り組みます。そうした作品では、使えることが重視されます。手は世界に奉仕する存在だからです。そして、そこでのデザインも、使うことが前提になります。たとえば、リコーダーのケースでは、どちらに出し入れ口があるのかが明確であるようなデザイン、あるいはポットウォーマーでは、温かさを保つという機能、下が開いていること、そうしたことが見えるデザインをします。こうしたことを通して、「本質にふさわしいデザイン」という姿勢を身につけていきます。
万年筆のデザインを例に、本質とデザインの関係をまとめます。

■書きにくさとの出会い

・先が太い


色鉛筆などで先が太くなってしまっていると、紙との接触点が確認できず、思った場所に書き込めません。

・持ちにくい


画像ではわかりにくいですが、このペンは持つ部分がサラサラな感じに仕上げてあり、持っていて非常に滑りやすいのです。光沢仕上げの部分の方がずっと安定して持てるくらいです。さらに悪いことに、持つ部分がやや細く、掴みにくくなっています。

■書きやすさとは何か(主に万年筆)

まず、「ペン」や「書く」といった事柄に関係する項目を、思いつくままに書き留めます。

次にそれを、関連を意識しながら平面上に構成します。

このようにしますと、「ペン」についての概念図ができあがり、そこで本質的な要素が明確になります。
(こうしたやり方はほぼ常識なので、書くまでのことはないかもしれません。しかし、中高校生などの初学者のために、載せておきます。)

こうした概念図に沿って考えていくのが、物作りの基本です。たとえば、学校建築の際にも、学校内で生じることを中心に、こうした概念図を作ることができます。シュタイナー学校の設計をしている建築家のそれをチラッと見せてもらったことがあります。その建築家は、すでに何校かを手がけていましたが、その概念図自体はほとんど変更の必要がない、と言っていました。

■ペンを握る

さて、筆記用具を握るときに、ポイントとなる部分は4点あります。まず、親指、人差し指、中指の背の3点です。


そこに親指と人差し指の又の部分が加わり、4点です。

■4点を考慮したペン

下図のペンは、親指と人差し指の触れる部分が平面で、安定して握れる構造になっています。

さらには、指の又の部分も平面になっていて、それの安定に寄与しています。


素材は、レゴと同じABS樹脂で、強度と適切な摩擦が得られています。

■目と指の協調のために

持つ部分が先に向かって少し細くなり、ペン先を指し示していますので、ペン先を意識しやすい構造になっています。これによって、目と指の協調を取りやすくなっています。

■デザイナー、ヴォルフガング・ファビアーン氏の1980年の作品

これは、(ウォルフギャングと表記されることが多い)ファビアーン氏が、小学生用にデザインした、Lamy社のSafariです。
デザインという意味でのお手本的な例の一つです。

■握り持ちの理想の筆記具は?

指の力が弱い小学生が鉛筆でしっかりと書こうとすると、鉛筆をしっかりと握らなくてはならなくなります。そして、それが完全に習慣化した人も多く見受けられます。
この握り方を否定するのではなく、それに適した筆記具のデザインを考えれば、ひょっとしたら役立つものが生まれるかもしれません。

■副作用…基準が明確になると迷いが消える

2008年頃、私は興味本位で廉価版万年筆をいろいろと入手していました。目新しいものがあれば、欲しくなるのです。そのようにして手にした一つが、持ちにくいということで紹介したものです。
その「持ちにくさ」がきっかけになり、書きやすい万年筆とはどのようなものか、を考えて、その一つの結果がこのレポートです。
これをまとめることで、私の中にも変化がありました。目移りしなくなったのです。自分の中に明確な基準ができますと、進むべき方向が明確になり、無駄な目移りがなくなるのです。

2014年6月20日金曜日

クロスステッチによるコースターづくり

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製作例

■4年生はクロス・ステッチ

多くのシュタイナー学校では4年生の手の仕事の時間にクロスステッチを取り上げます.
学校によっては(週2時間程度で)1年をかけてやや大きなものを作らせる場合もあります.
大きなものでは目の数が多く,仕事に根気を必要とします.仮に50目×50目ですと,2500目になります.
また,大きな作品では,目の位置などで間違いを犯す可能性もずっと高くなります.
ですから,手始めに短時間で仕上げる場合には,20目×20目=400目くらいが妥当なところでしょう.
ちなみに,ここでのやり方は「よこはまシュタイナー教育の会・子どもクラス」の神田昌実さん(現在、横浜シュタイナー学園教師)から学んだ方法を、やや簡便にしてまとめたものです.

■材料

参考までに商品名を入れておきますが,これに順ずるものであれば,メーカーは問いません.
・ クロスステッチ用の布(一目4mmのもの),120mm×120mm(30目×30目)

・ 刺繍糸(15から20色程度)ヨリがやや強くかかったもの.
  (DMC社製25m,ヨリの強い刺繍糸はこのメーカーの他に,オリンパス,コスモなどがあります).
・ 4mm方眼のデザイン用の紙(ダウンロード) (下図のような感じで、原寸でデザインできます。)

cross-stetch型紙

・ クロスステッチ用の針

■デザイン

デザインの基本は2つです.用途に応じたデザインと色彩であること,またコースターでは 四方対称のデザインであることです.
日常使うものをデザインする場合には,その用途に応じたデザインをするようにします.
たとえば,ティー・ウォーマーでしたら,

(1)温かさを感じさせる
(2)下が空いていることがわかる

といった要素を盛り込みます.
人間にとっての自由とは,勝って気ままな振る舞いではありません.自分が為すべき必然を洞察することが自由なのです.その哲学がこんなところにも盛り込まれています.
実際に刺繍する面は80mm×80mmですので,4mm方眼のデザイン用の紙に大雑把にデザインします.
デザインのための下書き.大きさは出来上がりの実寸です.

■目数を数える

各色の目数を数える.(1/4を数えて4倍してもよい).
糸は1mで40目程度刺繍できるので,それに応じて糸を確保する.

■刺繍

刺繍をしていくにあたって,玉止めはしません.余った糸を裏で糸の間に通します.
間違いなく刺繍を進めていくためには,刺繍すべき20×20の縁をしつけ糸で印をつけておく方がよいでしょう.
さらには,中心点にシールなどを貼るのもよいかもしれません.
刺繍にあたって注意すべきことは,右上がりの糸と左上がりの糸の交差上下関係を全体で統一する点です.
右利きの場合は,右上がりが下,左上がりが上になります.
右利きの場合の刺繍順序は以下の通りです.

· 横に刺繍していく(左へ移動)

· 上に刺繍していく(上へ移動)

· 斜めに刺繍していく(右上へ移動)

· 斜めに刺繍していく(左上へ移動)

· 斜めに刺繍していく(右下に移動)

· 斜めに刺繍していく(右上に移動)

· さらに,面で埋めていく場合(その1)(その2),があります.

これらの中では,横に埋めていく刺繍の仕方が最も簡単なので,まずはそれで始めるとよいかもしれません.
それぞれの場合についての刺繍の順序を以下に示します.

青丸は一つのクロスの出発点を示します.
あとは,番号順に糸を通します.
赤が布の表,緑が布の裏側です.

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■土曜クラスでの指導の経験から

人にはそれぞれ異なった才能があります。こうした手の仕事を指導しますと、幾つかのグループに分かれることが分かります。

  1. 能力もあり、成果が上がるので楽しんでどんどんやっていく子ども
  2. 習得にやや時間がかかるものの、やがては楽しみにやっていく子
  3. 精一杯の努力でどうにか1枚仕上げられる子

1~2割くらいの子どもが3.のグループに属します。そうした子どもには、「一生で1枚作ればいいし、それは君の大きな力になる」と励まします。多少の刺繍間違いがあっても、密かに修復するか、目をつぶるかのどちらかにしています。とにかく最低限《仕上げること》を目標にし、《投げ出す》ことだけは避けるようにします。

1.の子どもは、デザインなど、より高度な部分で簡単なアドヴァイスを与えれば、勝手に先に進んでいきます。

■出来映えを気にし始める年齢

4年生くらいになりますと、自分がやっていることの出来映えを気にし始める子どもが増えてきます。そんな時に、布の縫い目が位置をきちんと助けてくれ、間違いなく作業を進めていけば、出来映えのよい作品ができるクロスステッチは、子どもに大きな喜びをもたらすようです。