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2014年6月24日火曜日

《四大》とプラトン立体

■五つの正多面体


日本ではあまり馴染みのない呼び方ですが、正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の五つの正多面体をプラトン立体と呼ぶことがあります。その理由は、プラトンの『ティマイオス』という本にこれらの立体が地水火風との関係で紹介されているからです。

■『ティマイオス』


『ティマイオス』は日本ではあまりお目にかかりません。同じプラトンの著作でも『饗宴』や『ソクラテスの弁明』などは、文庫本も数種類出版され、比較的入手しやすい状況ですが、『ティマイオス』は岩波書店のプラトン全集の中に収録されたものしか私は知りません。その翻訳の日本語もかなり読みにくいものでしかありませんので、内容をきちんと把握するのは、かなり困難です。
ところが、ヨーロッパの文化的伝統では、非常に重視された著作だったようです。その一番の証拠が、ラファエロの筆になるヴァチカンの『アテネの学堂』の絵です。この作品の中央には、左にプラトン、右にアリストテレスが配され、それぞれ特徴的なしぐさをしています。「イデア論」を説いたプラトンは右手人差し指を上に向け、「中庸の徳」を語ったアリストテレスは右手のひらを下に向け、前方に差し出しています。
800px-Sanzio_01_Plato_Aristotle
この二人は左手にそれぞれ本を持っていて、両者とも書名を読み取れます。プラトンは『TIMEO』アリストテレスは『ETIC』という文字が読み取れます。これはそれぞれ、『ティマイオス』と『エチカ(倫理学)』を現しています。
Raffael_book
この二人の人物に沿って、人間を二つのタイプに分ける場合もあります。プラトニカーとアリストテリカーです。アリストテレスは『自然学』『政治学』なども著していて、地上の世界にも深い関心を持ち、そこに分け入っていきます。一方、プラトンの関心は、もっぱらイデア界、つまり理念的世界に向いています。この両方の質が的確に結びつくとき、人類の認識は一気に高みにのぼります。それは、一個人の内面で起きることもありますし、二人の人間の出会いによって生じることもあります。
その後者の典型とも言えるのが、天文学者のティコ・ブラーエと数学者ケプラーの出会いです。ケプラーは惑星に関する法則を発見し、天文学で有名ですが、彼自身は近眼で、星をまともに見ることはできなかったそうです。生まれはシュツットガルト近郊の貧しい家でしたが、幾何学、数学の才能に恵まれ、その方面での論文も残していますし、音楽の調律に関する論文も書いています。
一方のティコ・ブラーエはデンマークの貴族の生まれで、国王の援助を受け、ヴェン島に天文台をつくり、当時の最新鋭の機材を駆使して、肉眼観測としては最高精度の天体データを収集しました。友人から聞いた話では、彼の城には地下牢が作られていたそうです。なぜなら、天体観測にかかる費用を捻出するために、島民に重税を課し、しばしば一揆が勃発したからだと言います。実際、1599年には一切のデータと観測機器を持って逃げだし、ウィーンのルドルフⅡ世に庇護を求めました。後にティコと出会ったケプラーが「彼は、私の何年分もの収入に相当する機材をいくつも持っている」とぼやいたそうです。
ティコの綿密なデータとケプラーの素晴らしい計算力、つまりアリストテリカーとプラトニカーの才能が出会って、はじめて惑星に関する運動力学的法則が明らかになったのです。
このように、プラトニカーもアリストテリカーもそれぞれ違った分野に才能を持っています。しかし、事、地上的な成功という意味では、アリストテリカーの方が優位なようですし、ラファエロもそれを巧みに描き分けています。

足下

■五つのプラトン立体の中の四つと《四大》


さて、ティマイオスの中で、立方体は最も安定しているので、《地》に振り分けられます。
hexa
最も軽く、また鋭くどこにでも入り込んで行くものとして、正四面体が《火》に割り当てられます。
tetra
次に鋭いもの、つまり正八面体が《風》に、そして残りの二十面体が《水》に割り当てられます。
octa
icosa
そして、正十二面体については、その存在も語られていません。
意味がわかりにくい気はしますが、岩波書店のプラトン全集からの抜粋を入れておきます。

文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_1
文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_2
文書名 _[プラトン]ティマイオス _ページ_3

■正十二面体はエーテルに対応


ピタゴラス学派内では、正十二面体は知られていましたが、その存在を外部に漏らすことは禁じられていたと言います。そして、彼らはそれをエーテルに対応させていたといいます。
dodeca
ギリシャ時代に言われていた「エーテル」が何を意味するかは推測の域を出ませんが、シュタイナーはこのエーテル領域をさらに詳しく述べていると言えるでしょう。つまり、
  • 熱エーテル
  • 光エーテル
  • 化学エーテル(響きエーテル)
  • 生命エーテル
の四つです。この詳細についてはまた別な機会に譲ることにしますが、とりあえずシュタイナーの発見(あるいは報告)によってこのように細分化されていることだけをご紹介しておきます。
四大と四エーテルを総合した秩序は、
生命エーテル
化学エーテル
光エーテル
熱エーテル
《火》
《風》
《水》
《地》
あるいは視点を変えて、
《火》  熱エーテル
《風》      光エーテル
《水》         化学エーテル
《地》             生命エーテル
になります。 

2014年6月18日水曜日

《四大》と植物

まず、大雑把に植物と四大の関係について書いておきます。

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■《地》と根

まず、根は《地》と深いかかわりがあります。基本的には、重さの方向に真っ直ぐ伸びていきます。ミズバショウなどでは、太い根が2m以上の深さに達しています。

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発根に際して、遠心力をかけ続けますと、根が重さと遠心力の合力の方向に伸びます。

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根の成長の様子を見ますと、伸びる力をすぐに失うことがわかります。いわば、すぐに《硬化》していくのです。

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水栽培だと根毛が出ませんが、根が何かにぶつかると根毛を出すという現象があります。これは、地の要素を持つ根が地の要素である〈抵抗〉と出合ったときに、根の本来の姿を見せるわけです。

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根の分枝が出るときには、中心部分から分岐がはじまります(Endogenese)。茎では、表面付近から分岐するのとは対照的です。これも「芯から分岐してくる」と考えると、《地》的であると言えるでしょう。《水》に芯はあるでしょうか。

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(図版はStrassburg Botanikより)

■光に向く植物(多くの植物)と重さに定位する植物(イネ科など)

茎では、四大とは少し離れ、エーテル領域になりますが、光と地(重さ)の関係の中で見ると植物の本質がわかってきます。植物の中には茎が光の方向を向くものがあります。同じ植物でも若い部分は光に向かう傾向が強いようです。ところが、植物によっては茎の方向が光にはまったく関係なく、ただ重さと反対の方向にだけ伸びるものがあります。その典型が多くのイネ科の植物です。また、重さと反対の方向に伸びる傾向は、成熟した部分に強く現れます。

■葉は《風》と《水》の産物

葉は基本的には《風》の領域です。しかし、下部では湿気である《水》とのかかわりも持ちます。《水》では、全体をつなげ、一体化させる傾向があります。それと関連して、同じ一本の植物でも、地面に近い(=湿気が多い)部分の葉はより一体化していて、葉の縁が丸みを帯びたものが多いのです。それに対し、上部の葉では《風》との親和性から、先が空間に解消していくような雰囲気に変わります。生育場所によって、タンポポもさまざまな形の葉をつけます。どれが湿った日陰産で、どれが砂利の駐車場でしょうか?clip_image014

植物で空気が出入りするのは、葉の気孔です(呼吸という語はあまり使いたくない)。また、空気を最も含んでいるのも、葉です。

植物の種類でも、四大とのかかわりの違いが感じ取れます。モミジの葉は《風》的ですが、ヤツデの葉は《水》的です。ちなみに、ドクダミはどうでしょう。

■花は《火》

花は《火》の要素とかかわります。チューリップやタンポポでは、温度が上がると花びらが開いてきます。サクラの開花予想には、「有効積算温度」が使われます。また、花には蜜がありますが、これは高濃度の糖分、すなわち燃やせば燃える成分です。言い換えれば、熱の塊です。

シュタイナーは触れていませんが、果実や種子ではさらに《火》とのかかわりが深くなります。桃などの果実では日照量によって甘さが違います。また、種子には油分が含まれることも多く、ここにも集約された《火》が見られます。

このように、《地水風火》の視点で自然を観ることで、間違いなく自然の観方がより豊になります。「自然現象を理解し始める」のです。ここで取り上げた例は、5年生には難しすぎる内容が多いのですが、教師が背景にそうしたことを知り、感じ取っていることは重要です。

2014年6月17日火曜日

《四大元素》01、地水風火

■四大元素はアントロポゾフィーの基本

アントロポゾフィーでは、さまざまな現象を《四大元素》地水火風の視点で考えます。ここではまず、簡単にそれらの特徴をまとめておきます。
それでも、《四大元素》(地水火風)の考え方など時代遅れで科学的ではない、というのが一般的でしょう。現象を分子や原子のレベルから解明しようとするのが現代的な手法です。ここは現代自然科学との優劣を議論するつもりはありません。それよりは、四大的に考えることで、私たちの体験が豊かになることを示したいですし、さらには、この視点が非常に実用的であることも示したいと思います。

■四大(地水火風)のそれぞれの特徴

四大の特徴を知るために、物質としての個体、液体、気体、熱を観察し、その特徴を挙げてみます。

■地のエレメント

  1. お互いに入り込むことはなく、ぶつかりあうとお互いに反発し、他者に抵抗をおよぼす。
  2. 他者との関係は表面だけにとどまる。
  3. 接触は表面的な関係であるにもかかわらず、力は中心から及ぼしあう。
    水滴同志がぶつかり会うときに、もしその中に人がいてもショックを感じないだろう。しかし、これが氷の塊ならばぶつかった瞬間に強い衝撃が伝わってくるだろう。このように、固体同志が作用しあうときには力は中心まで及んでいる。
  4. 「重さ」の概念と関連を持つ。
  5. 固体同志がつながりを持とうとすれば、その界面ではある種の活性化が必要である。
 地について01

地のエレメントの諸性質をチャート化した例。

 

■水のエレメント

  1. 二つの水滴は出会えば一つにまとまってしまう。
  2. 水の運動形式は流れである。
  3. 容器に応じて形を変え、しかも連続的に変化する。
  4. どこかに隙間があるとそこに入り込んでゆく。
  5. 固体と固体を結びつける働きがある。これには物理的に接着するという意味もあれば、化学反応の媒介をする、という意味も含んでいる。
  6. 静かな水の表面は鏡のように世界を映し出す。

■風(空気)のエレメント

  1. 「風の四大」の動きは拡散と収縮である。
  2. それ自身が次第に消えてゆくことでよりその本質を具現していることになる。
  3. 良く晴れた冬の朝には遠くの山々がきれいに見えるのに対し、霧の日には全く見えない。そして山が良く見える状態と山が見えない状態ではよく晴れているときはど空気らしさが現れているといえよう。つまり空気は自分自身が姿を消せば消すほど空気らしさを示すと言うことになる。
  4. 「地」「水」に比べ、基本的に力が外に向かっていて、拡散的である。しかし、最終的にはわずかに凝縮的な力が働いている。
    塊として存在するためには凝縮的な力が必要である。それが気体では塊を解消する方向、すなわち拡散的な力が優勢である。しかし、最終的にはわずかに凝縮的な力が働いていて、一つの塊として存在し得る。

■火(熱)のエレメント

熱は現代では「気体、液体、固体の持つ一つの状態」と考えられています。物理学ではそれぞれの分子の振動(運動)状態と解釈しているのです。しかし、ここでは純粋に現象に忠実に熱の性質を観察してみたいと思います。とはいうものの「地」「水」に比べて「熱」の四大には、物質として参考になるものは少ないでしょう。最も身近なものとしては火を挙げることができます。そして、火に関連する現象としては以下のようなものを挙げることができます。
  1. 熱は暖かいものから冷たいものへと流れてゆく。
  2. 固体、液体、気体の全ての中に浸透し伝わってゆく。
  3. 極度の熱は全てを無に帰する。それゆえ破壊的であり、また同時に新たな始に向けての出発となる。
  4. 拡散するときはどこまでも拡散し、どこまでも稀薄になり得る。しかし、こうした拡散は決して物質的なものではなく、いわば集約度が広がってゆくのである。
  5. 4とは反対に熱が集約されるときは熱として集められるのではなく、何等かの物質に(可燃性物質など)宿されることが多い。

2014年6月5日木曜日

《風》元素の重要な一性質

■《風》元素と水晶


四大元素を軸に現象を考察するためには、地水風火それぞれの質を知っていなくてはなりません。たとえば《地》では重さや形といった概念と関係しますし、《水》では、流れやつながりと関連します。もちろん、《火》や《風》のさまざな概念と関係しますが、その中の一つを「水晶の結晶」との関係で取り上げます。


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■《風》(空気)は透明であり、存在感がない


《風》が最も《風》らしいのは、遠くの山がクリアに見えるときです。視界が悪くなるときには《水》の要素が強くなっていることは経験からも分かります。つまり、《風》は媒体として他者の様子を伝える役割を担っていますし、それは視覚だけでなく、聴覚や嗅覚でも同様なことが言えます。《風》は、自己主張せず、他者のための場を用意する存在なのです。私たちの中にも、そうした風的要素がありますし、また必要でもあります。しかし、逆に過剰である場合には、問題になります。

■70℃で沸騰する水


減圧沸騰(再沸騰)と言っても、ご存じない人も多いかもしれません。私の場合は、中学校の理科の尾崎先生がデモンストレーションしてくれたのを覚えていますが、すべての中学校で行なわれている訳ではないでしょう。
再沸騰の現象

1.フラスコ内で水を沸騰させる
2.沸騰した状態で、ゴム栓で密閉し、火を止める
3.やがて、沸騰はやむ
4.さらに温度を下げていくと70℃から60℃、再び、沸騰が始まる。

理由は、フラスコ内の圧力が下がって、水の沸点も下がるからです。富士山の山頂では、お湯が十分に高温にならずに沸騰してしまい、お米が上手に炊けない、といったことが知られています。
減圧沸騰についての動画もあります。実験で確認できない場合は、こうしたものも有効でしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=9v6knHc7FHw

20年くらい前に、この実験を学習障害のある中学生とやったことがあります。その時に、この動画でも見過ごされている、ある重要な現象に気づいた子が居ました。

鍋でお湯を沸かしますと、沸騰を始まりから見ることができます。鍋の底に泡が出来はじめますが、初めはそうした泡はすぐに消えてしまいます。底で大きくなるものの、上昇するにしたがって小さくなっていくのです。ところが、再沸騰では、泡の大きさ変化が逆向きで、底の方で出来た小さな泡が、上昇するにしたがって、大きくなっていきます。これは動画でも確認できます。実は、この現象が水晶の結晶化と密接な関係があるのです。

■水晶はどのようにして結晶化するのでしょうか?


特別なやや硬い丸い石を割ると、中が空洞になっていて、そこに水晶の結晶ができています。

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マグマがゆっくりと固まる際に、結晶化しやすい成分が密になることがあり、その部分をペグマタイトと呼んでいます。

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ペグマタイトの画像(岐阜大学のサイトより)

そのペグマタイトが地表に向かって上昇してきますと、さらに温度が下がり、また圧力も下がります。これに伴って、ペグマタイトに含まれる水も、しだいに変化していきます。水は100℃で沸騰しますが、これは1気圧の場合で、圧力が下がれば沸点も下がることは述べました。逆に、圧力が高くなりますと、沸点も上昇し、より100℃以上でも液体です。これは圧力釜の原理です。この圧力釜よりさらに圧力を高めていくと、300℃以上でも液体状態を保てます。(ちなみに、水の場合、 温度647 K (374℃)、圧力 22.064 MPa(218 気圧)で、臨界状態に達し、液体とも気体とも言えない状態になります。)そうした、高温高圧の水に水晶の成分であるケイ酸が含まれていると考えてください。

■結晶は泡の中に

このケイ酸を溶解した高温高圧の水を含むペグマタイトが地中深くから、地表に向かって上昇しますと、温度も圧力も下がります。この圧力がある水準を下回ると、中に含まれている水が沸騰をはじめ、ペグマタイトの中に水蒸気の泡ができます。その泡の中では、水分が益々少なくなり、溶解していたケイ酸が結晶として析出をはじめます。このように、岩の中にできた空洞に結晶ができるのです。もちろん、この空洞の大きさはまちまちで、ブラジルなどでは、結晶がちりばめられた小部屋ほどの大きさのものもあったそうです。

泡が大きくなるか、小さくなるかは、シャボン玉吹きの経験から考えてみてください。どういうときに、大きな物ができ、どういうときに小さな物が多数できるでしょうか。
結晶という存在が実現するためには、このように《泡》が必要でした。つまり《風》の元素が「他者のための場」を作ってくれたのです。

結晶の採集では、このペグマタイトの識別が重要です。山道を歩いていて、ペグマタイトを見つけたら、そこを登っていけばペグマタイトの露頭が見つかる可能性があり、さらにそこには各種の結晶が見つかる可能性があります。山へ行ったら、花崗岩の結晶の大きさにも注目してみませんか。

2014年6月3日火曜日

水が陸地の形をつくる場合

■現代自然科学の思考法


現代自然科学の思考法は、物質主義に非常に汚染されています。あらゆる事柄の基盤は《物》である、という迷信に「科学的な物の考え方」という美名の元に洗脳されています。健康を考える際にも、ビタミン、DHA、コラーゲン等々、「身体にいいと言われる物質」を摂取することで、健康を保てると考えます。そして、実際にこのサプリ摂取という方法はある程度機能しますから、その信奉者は増えるばかりです。

あるいは、すべての生命現象はDNAが原因であると考えられています。そして、もちろんこれは間違いではありません。ただし、どの程度まで正しいのかを吟味している人は、多くはありません。ここでは、このDNA原因説の捉え方の一つの可能性を提示するにとどめます。

生命現象がDNAを基礎に成り立っているのは正しい。しかしそれは、小説が特定の文字配列で成り立っている、というのと同等の正しさである。

■四大元素論はアントロポゾフィーの必須科目


さて、「物質を基盤に現象を考える」視点で物事を捉えますと、生体なども、まず物質が存在し、その物質の諸性質の結果として、器官が生じる、と考えます。ところが、シュタイナーの言葉を理解するためには、こうした物質主義的な発想から離れなくてはなりません。そうではなく、四大元素(地水風火)を思考の基準にする必要があります。この視点から物事を実際に考える例は、このblogでさらに取り上げていきます。いずれにしても、まず四大元素的思考に慣れる必要があります。

■《水》が《地》の形を決める


四大元素的に考えますと、《形》という性質は、《地》の要素と密接にかかわっています。液体の形や気体の形というのは想像しにくいでしょう。そして、《流れ》という性質は《水》とかかわります。この《地》と《水》の関係は、《地》の形が《水》のあり方を決めていると考えることがほとんどです。上流のせせらぎの流れは、地形が決めていますから、すべてがそのように決まっていると考えがちです。

しかし、現象をよく見ていくと、流れが形を作り出す例もあります。図は、千葉県の九十九里浜の海岸線と函館の海岸線の比較です。両端に硬い地形がありますと、そこに特定の流れが生じ、その流れの結果として弧を描く地形が生まれます。

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クリップボード03
あるいは、川の三角州(デルタ)も同様です。川が開けた海に一気に広がると、その間に流れがゆっくりな部分ができ、砂州が生まれます。
地球科学を学びますと、硬い山の形ですら、造山運動という《流れ》の結果であることがわかります。あるいは、駅前の放置自転車の配列も、(人の)流れの結果とも言えます。したがって、人の流れを考慮すれば、駅前放置自転車は減らせるはずです。

このように、《地》が《水》の様子を決める場合も多くありますが、それでも《水》が《地》の様子を決めている場合もあることを忘れてはいけません。地水風火で言えば、《地》が一番濃密で、《火》は一番希薄です。それゆえ、濃密なものが希薄なものの様子を決める、と考えられることが多いのですが、希薄なものが濃密なものの様子を決める場合もありますし、それは重要な意味を持ちます。

■動物は《熱》から始まる


『農業講座』第7講の最後でシュタイナーは、地水火風の視点から動物と植物のあり方を説明しています。

動物と植物

第七講図02a

動物は《熱》と《風》の中では、個として存在しているが、《水》と《地》としては、植物から素材を受取り、それを体内で変化させている

植物は《水》と《地》の中で固有の存在であるが、《熱》と《風》は地中でそれを体験するだけで、内に取り込むことはしない

と述べています。(ちなみに、イザラ書房刊の翻訳では《地》も「大地」と訳しているので、読解には注意が必要です。)
この文章を理解するために、動物については、まず、《熱》素材からなる環境の中に《熱》素材からなる哺乳動物が居ると考えてみましょう。サーモグラフで捉えた動物の映像が、その物質的イメージかもしれません。熱世界の中に熱動物が居ます。冷たい環境に居るホッキョクグマなどは、熱存在として際立っているでしょう。この熱動物の形態は動物の形態とほぼ同じでしょう。

この現象に対し、物質主義は次のように考えるでしょう。つまり、動物を作っている肉体があって、そこでの代謝の結果として熱が生じているので、目に見える動物身体の姿と同じような熱身体が生じる、と。しかし、シュタイナーの霊学では原因と結果を逆に考えます。まず、熱からなる動物の身体があり、そこに物質素材が満たされて目に見える動物の姿になる、と考えます。そして、動物はこの熱形態は自ら作り出すことができるのに対し、《地》と《水》、つまり固体的なものや液体的なものは自分の力だけでは自分化できず、植物からそれを得ている、というのです。ライオンがシマウマを食べるにしろ、シマウマの栄養源は草ですから、すべての動物の栄養源は植物と言えます。《地》的素材である炭水化物を、実際、すべての動物は植物だけから得ています。

このように、《熱》からなる身体を考え、そこに素材が満たされていく、というイメージは非常に重要です。私たちの病気でも、身体の《熱体》に問題があると、言い換えると部分的に《冷え》があると、それが病気の原因になります。たとえば、動脈硬化は、シュタイナー医学では、そうした局所的な冷えと関係していると考えます。

2014年6月2日月曜日

水はどう動く、どう動きたい(水の本質的な動き)

フロー・フォーム

wasser1 (画像提供:村上智さん)

1987年頃にアントロポゾフィーの総本山であるドルナッハを訪れた際に、フロー・フォームというのを観ました。つぶれたハート型のような水盤を順次水が降りてくる仕掛けです。そこでは水がレムニスカート(8の字型)を動いていました。その時の説明では、それが水の浄化に役立つとのことでした。当時の私の感想は、「激しく眉唾」で、「アントロポゾーフはレムニスカートが好きだから、根拠もなく、無邪気に浄化に役立つなどと考えたのだろう」、くらいに思っていました。

水はどう流れるか

水は地形に沿って流れる、これは言うまでもないでしょう。

flow

水は周囲の硬い物体の影響を受け、形も動きもそれに沿ったものになります。たとえば、山間を流れるせせらぎは周囲の岩の形で流れの方向や様子が決まります。石の配置を変えれば水の流れも変わります。

水はどう流れたいか

水には意志はないですから、「流れたい」という擬人化は、ちょっと大げさですが、開けた土地で流れ方に可能性が与えられますと、特定の現象を示します。

そんな現象を1991年、ヨーロッパに向う飛行機でシベリア上空から見ることができました。川の蛇行の様子が美しく見えたのです。その写真がどうしても撮りたかったのですが、その時はカメラも持っていませんでした。その後も、シベリア上空を飛ぶ機会は多くはありませんし、広大なシベリアのどの辺だったのかも定かに覚えていませんでしたから、よっぽどのことがない限りその写真は手に入らないだろうと諦めていました。

ところが、ネット時代になって状況が一変しました。Google Earthでは地球上のさまざまな地点の航空写真が見られますので、シベリア上空をネットで飛んでみました。すると、私がかつて見た地点かはわかりませんが、大河が蛇行する様子が綺麗に見られたのです。

river

このように、平地に出てきますと川の状況が変わります。初めのうち、川は直線的に流れます。しかし、時を経るにつれて蛇行を始めます。そこにやがて三日月湖ができます。上の画像でも、所々に三日月湖が見られます。

平地での川の振る舞いを見ますと、「蛇行」がキーワードと言えます。

線描による実験

ここで簡単な実験をしてみましょう。

  • 空中に指で縦の線を引いてみてください。
  • 次に、それを左右に波打つ線にしてみてください。

flow_001

 

  • その波をさらに深く、左右にえぐるように描いてみてください。 すると、これは川の蛇行のような線になるでしょう。

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  • ここで左右のえぐりはそのままに、下に流れる速度をどんどんゆっくりにしてみてください。 ここまで来ると、現実の川ではショートカットが生じ、取り残された部分が、三日月湖になります。
  • そして、最後には下向きの動きを完全に止め、左右にえぐる動きだけにしてみてください。このとき、指先はどのような動きをしているでしょうか。

sflow_004

間違いなくレムニスカートです。ここでは「下向きの流れ」を取り除いて考えています。この「下向きの流れ」は重さ、つまり地のエレメントの働きで生じますから、それを取り除くということは純粋に水のエレメントに近づいていることになります。そして、その動きがレムニスカートなのです。


 つまり、川が蛇行するという現象は、水が自由に動けるなら水はレムニスカートを動く、という方向を示していますし、さらに言えば、水の持つ本質的な動きがレムニスカートだと言えるのです。

youtubeのFlow Form の動画を張っておきます。

 このことに気づいたとき、私はフロー・フォームのことを思い出しました。フロー・フォームでは、水に水本来が持つ動きをさせていることになるのです。物質的な意味での浄化が行われるかはわかりませんが、水にとっては素晴らしい保養にはなるはずです。また、本来の姿とはその対象が見せる最も美しい姿でもあります。