聖夜の雰囲気
1912年12月22日~12月28日
Weihe-Nacht-Stimmung
Ich fühle wie entzaubert
魔法を解かれたかのように私は感じる
Das Geisteskind im Seelenschoß;
魂の膝の中に霊児を;
Es hat in Herzenshelligkeit
心の明るみの中で
Gezeugt das heil'ge Weltenwort
聖なる世界語は作り出した
Der Hoffnung Himmelsfrucht,
希望という天界果実を、
Die jubelnd wächst in Weltenfernen
それは歓喜しつつ世界遠方で育つ
Aus meines Wesens Gottesgrund.
私の存在という神根底から
まず「私は霊児を感じる」が文の骨格です。その霊児を私の魂の膝の中に感じるのです。既存の翻訳では「膝の中」というあまり詩的ではない語を避けて「胎内」としている場合が多いのですが、クリスマスです。クリスマスに「胎内」はありえません。
次の3、4、5行目のドイツ語では不思議なことが起こります。3行目はEs(それ)で始まります。ここまでを普通に読んできますとこの Es は中性名詞の代名詞で、2行目の霊児を代行していると捉えます。すると、3、4行目は「それ(霊児)は心の明るみの中で聖なる世界語を作り出した」という意味として解釈します。方向としては「霊児が世界語を作る」という関係です。ところが5行目に入りますと「天界果実(Himmelsfrucht)」が現れ、これが文法的にどこにも繋がらなくなってしまいます。ちなみに、「der Hoffnung」は2格で天界果実を修飾しますから、いわばおまけです。
この部分を文法的にきちんと繋げるためには、3行目のEsを仮の主語と解釈し、「世界語が天界果実を作り出した」と捉えなくてはなりません。3、4行目では霊児が世界語を作る関係と思われたものが5行目で逆転して世界語が天界果実を作る関係になります。
6、7行目は天界果実の成長の方向性を示します。それは世界遠方で育ちますし、その根源は私の存在であり、その私の存在が結びついた神根底なのです。
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